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Nancy - With the Laughing Face

  • 作曲: VAN HEUSEN JIMMY,SILVERS PHIL
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ
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Nancy - With the Laughing Face - 楽譜サンプル

Nancy - With the Laughing Face|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Jimmy Van Heusen作曲、Phil Silvers作詞による1944年のバラード。原題は“Nancy (With the Laughing Face)”で、表記ゆれとして括弧なしの形も流通。フランク・シナトラのレパートリーとして知られ、ジャズ・スタンダードに定着している。ボーカル曲だが、インストでも頻繁に演奏される。

音楽的特徴と演奏スタイル

落ち着いたテンポで、柔らかなメロディが言葉の抑揚を丁寧になぞるのが特徴。ハーモニーはリリカルで、豊かなテンションと内声の動きが映える。歌唱ではレガートと間合い、伴奏ではサステインと洗練されたボイシングが鍵。イントロでルバートを用いる解釈も一般的で、終止に向けたダイナミクスのコントロールが表現の肝となる。

歴史的背景

第二次世界大戦期のアメリカで生まれ、戦後のポピュラー・ソングとジャズの架け橋となった作品の一つ。題名の“Nancy”はシナトラの娘の名として広く知られ、彼の温かな父性を象徴する歌として愛好された。出版年は1944年。初演や初出の舞台に関する詳細は情報不明だが、シナトラの歌唱が広範な認知を押し上げたとされる。

有名な演奏・録音

代表的録音として、フランク・シナトラがAxel Stordahl指揮のオーケストラと残したバージョン(レーベルはColumbia)が名高い。インストではJohn Coltraneがアルバム“Ballads”(1963, Impulse!)でしっとりとした解釈を提示し、楽曲の抒情性を新たな形で示した。ほかにも多くの歌手やサックス奏者が取り上げ、録音は世代を超えて積み重ねられている。

現代における評価と影響

現在もボーカルのリサイタルやジャズ・クラブのレパートリーとして定番。バラード表現、英語詞のディクション、伴奏のダイナミクスを学ぶ教材としても重宝される。映画やドラマでの顕著な使用例は情報不明だが、ジャズ史・ポピュラー史双方に刻まれた名曲として、教育現場やコンサートプログラムで継続的に取り上げられている。

まとめ

「Nancy (With the Laughing Face)」は、親密な情感と上品な旋律で時代を越えて愛される名曲。シナトラ由来の歌の魅力はもちろん、インストでも美点が際立つ。聴き手の想像力を喚起する余白と、演奏者の解釈を受け止める懐の深さを兼ね備えたジャズ・スタンダードとして、今後も多彩な解釈とともに演奏され続けるだろう。