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SonnyMoon For Two
- 作曲: ROLLINS SONNY

SonnyMoon For Two - 楽譜サンプル
SonnyMoon For Two|楽曲の特徴と歴史
基本情報
ROLLINS SONNYによる代表的オリジナルで、12小節のジャズ・ブルースとして広く知られる。初録音は1957年のニューヨーク、Village Vanguardでのライヴ。原曲はインストゥルメンタルで、歌詞や作詞者は情報不明。一般にB♭のキーで演奏され、シンプルなリフを主題に据えたジャム・チューンとして定着している。タイトルの由来は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
主題は短い二小節フレーズを反復するリフ型で、AAB構造のブルースに典型的なコール&レスポンス感をもつ。和声は伝統的な12小節進行が基礎で、即興はB♭ミクソリディアンやブルース・スケール、モチーフ展開を軸に発展する。ロリンズは空白を活かしたフレージングとリズムのずらしで緊張感を生み、ピアノレス編成でも和声の輪郭を明確に示す演奏が多い。テンポは中速から速めまで幅広い。
歴史的背景
1957年当時のロリンズは、コード楽器を欠いたトリオでの探求を進めており、本曲はその実験精神を支える格好の素材となった。Village Vanguardでの長尺演奏は、テーマとシンプルな和声を足場に、動機の反復と発展、ダイナミクスの起伏で物語性を描く手法を明確に示し、のちのモダン・ジャズにおける即興のモデルの一つとなった。
有名な演奏・録音
代表的録音として、A Night at the Village Vanguard(1957)のテイクが挙げられる。以後もロリンズ自身の各時期のライヴで頻繁に取り上げられ、テナー、ギター、管楽器セクションなど多様な編成で録音が重ねられてきた。テンポ設定やコーラス数、ソロの尺の違いにより、同曲の表情が大きく変わる点も聴きどころである。
現代における評価と影響
現在もジャム・セッションや音大のアンサンブル課題で定番となり、ブルース即興の入門かつ発展教材として重宝される。シンプルな主題と明快な形式が、リズム・コントロール、音価の対比、モチーフ処理といった演奏技術の検証に適しているためだ。多くの演奏家が自らの音色やタイム感を示す“自己紹介曲”として選ぶ例も多い。
まとめ
SonnyMoon For Twoは、簡潔なリフと12小節の骨格が無限の変奏を可能にするジャズ・スタンダードである。原典のライヴ録音を手掛かりに、異なる編成やテンポの解釈を聴き比べれば、本曲の普遍性とロリンズの美学がいっそう鮮明に浮かび上がるだろう。