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No Particular Place to Go

  • 作曲: BERRY CHUCK
#洋楽ポップス
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No Particular Place to Go - 楽譜サンプル

No Particular Place to Go|歌詞の意味と歴史

基本情報

「No Particular Place to Go」は、チャック・ベリーが1964年に発表したロックンロール・ナンバー。レーベルはChess Records、同年のアルバム『St. Louis to Liverpool』にも収録される。作曲・作詞はチャック・ベリー自身。12小節ブルースを土台にしたシンプルかつ推進力のあるビート、歯切れの良いダブルストップを多用したギター・リック、ストップタイムの巧みな使い方が特徴で、ベリーの代表的スタイルを凝縮する。細かな録音参加メンバーやキー等の技術情報は情報不明だが、エレキギター、ピアノ、ベース、ドラムの小編成で、ダンスフロア映えするミディアム・テンポに仕上がっている。

歌詞のテーマと意味

題名の直訳は「特に行くあてもない」。恋人と車であてもなく走る若者の自由さと高揚感を描きつつ、車内での甘いムードを邪魔する“シートベルト”という日常的ディテールをユーモラスに扱う。ドライブの解放感と、思い通りにいかない現実のズレをコミカルに対比させる語り口は、ベリーの物語性と機知の真骨頂。繰り返されるフレーズがキャッチーに機能し、オーディエンスに情景を想起させる。恋愛歌でありながら、アメリカのカー・カルチャーを象徴するイメージの連なりが、当時の若者文化の空気感まで伝えている。

歴史的背景

1960年代初頭、法的トラブルを経たベリーは復帰後に創作力を再点火し、1964年に「Nadine」「You Never Can Tell」と並ぶ一連のシングルを放つ。本作はその中核に位置し、初期の名曲「School Days」に通じるメロディ運びを現在形のサウンドで再提示した点が注目される。英国勢が台頭する英米ロックの過渡期において、ルーツに根差したシンプルなロックンロールの生命力を示し、世代や潮流を超えて響く普遍性を証明した。具体的なチャート順位は情報不明だが、広く知られるレパートリーとして流通し続けている。

有名な演奏・映画での使用

チャック・ベリー自身のライヴで定番的に取り上げられ、イントロのギター・リックとストップタイムは観客の手拍子を誘うハイライトとして機能した。スタジオ音源は『St. Louis to Liverpool』収録版が広く知られる。一方、特定アーティストによる著名な公式カバーや、映画・ドラマ・CMにおける明確な使用事例については情報不明。音源使用の実績はある可能性があるが、出典を伴う確証が得られないため、本稿では断定を避ける。

現代における評価と影響

本作は、ロックンロールの語法—12小節ブルース、語り口の巧さ、ギターのリフ・ワーク—を学ぶ際の好例としてしばしば参照される。自動車と若者文化という普遍的モチーフは今日でも色褪せず、オールディーズのプレイリストやDJセットで継続的に回される定番曲のひとつになっている。歌詞のユーモアと躍動感は、後続の“ドライヴィング・ソング”にも通じる表現の型を示し、ロックの物語性を拡張した点でも意義深い。

まとめ

「No Particular Place to Go」は、行き先のないドライブという軽妙なプロットに、ロックンロールのエッセンスを凝縮した名曲。明快なリフ、引き締まったビート、ウィットに富む語り口が短い尺に無駄なく配置され、時代を超えて聴き手を踊らせる。詳細なチャートや映画使用の確証は情報不明ながら、チャック・ベリーの創作とステージの核を成し、ロックの基礎文法を今なお教えてくれるスタンダードである。