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Nobody Does It Better

  • 作曲: SAGER CAROLE BAYER,HAMLISCH MARVIN
#洋楽ポップス
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Nobody Does It Better - 楽譜サンプル

Nobody Does It Better|作品の特徴と歴史

基本情報

「Nobody Does It Better」は1977年公開の映画「007/私を愛したスパイ」の主題歌。音楽はマーヴィン・ハムリッシュ、歌詞はキャロル・ベイヤー・セイガー、歌唱はカーリー・サイモンが担当した。公開と同年にシングルとして発売され、全米シングルチャートで2位を記録するなど各国でヒット。アカデミー賞主題歌賞およびグラミー賞にもノミネートされた。ボンド・シリーズとしては、映画題名と同一ではない初の主題歌であり、シリーズ史に新機軸を打ち立てたことで知られる。

音楽的特徴と表現

ミディアム・スローのテンポで、穏やかなピアノとストリングスが中心。ハムリッシュの洗練された編曲は、静謐な導入から徐々に厚みを増し、クライマックスに向けてダイナミクスを拡張する。中盤の転調や、上行するメロディ・ラインが高揚感とロマンティシズムを生み、サビでは忘れがたいフックが印象を決定づける。カーリー・サイモンの落ち着いた声質は親密さと成熟を両立し、スパイ映画に潜むロマンスの核を音楽的に可視化。バラードでありながらポップの即時性を備え、映画音楽とチャート・ポップの橋渡しを成し遂げている。

歴史的背景

当時のボンド音楽を象徴してきたジョン・バリーが本作には参加せず、代わってハムリッシュがスコアと主題歌を引き受けた。1970年代半ばはポップ・バラードが台頭し、映画音楽にもクロスオーバー的潮流が広がっていた時期である。本曲はその時代感覚を巧みに取り込み、シリーズに都会的で開放的な音響を導入。映画自体がスペクタクルとロマンスの比重を増したことと呼応し、主題歌は作品のトーンを決定づける要素となった。

使用された映画・舞台(該当時)

「007/私を愛したスパイ」のオープニング・クレジットでフルに使用され、観客をロマンティックかつスリリングな世界へ導く。劇中のスコアでも主題の断片がインストゥルメンタルとして繰り返し引用され、潜入場面やラブシーンの情緒を補強。サウンドトラック盤に収録され、シングル・リリースと連動したプロモーションで広く浸透した。

現代における評価と影響

本曲は現在も“最高のボンド主題歌”の一角としてしばしば挙げられ、映画音楽ファンのみならずポップス愛好家にも長く支持されている。多数のアーティストによるカバーやライブ演奏が続き、テレビや配信の文脈でも再利用が途絶えない。ストリーミング時代に入ってからも定番として聴かれており、映画主題歌が単独のポップ・スタンダードとして成立し得ることを示した好例といえる。

まとめ

「Nobody Does It Better」は、ハムリッシュの気品あるオーケストレーション、セイガーの端正な言葉運び、サイモンの包容力ある歌声が結びついた普遍的なポップ・バラード。ボンド映画の華やぎとロマンスを凝縮しつつ、映画の枠を超えて単独作品としても強い魅力を放つ一曲として、今なお輝きを失わない。