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The Odd Couple

  • 作曲: HEFTI NEAL
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ
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The Odd Couple - 楽譜サンプル

The Odd Couple|作品の特徴と歴史

基本情報

The Odd Coupleは、1968年公開のアメリカ映画『The Odd Couple(邦題:おかしな二人)』の主題曲で、作曲はジャズ・アレンジャー/作曲家として知られるNeal Hefti(表記:HEFTI NEAL)。映画全体を統一するライトモチーフとして、オープニングから場面転換、キャラクター提示に至るまで効果的に配される。作品内では主にインストゥルメンタルとして用いられ、公式な作詞者情報は情報不明。洗練されたメロディと簡潔な構成により、映像のテンポ感とユーモアを鮮やかに支える、フィルムスコアの代表的テーマである。

音楽的特徴と表現

耳に残るシンプルな主題に、ジャズ由来のハーモニーと軽妙なスウィング感が合流。短いリフを対話的に受け渡す書法や、ブラスとリズム・セクションのコントラストが、登場人物ふたりの性格の“ズレ”と親しみやすさを同時に映し出す。明るさの裏にほのかなペーソスを漂わせる和声運びが、コメディの軽快さと人間味を両立。テンポ、楽器編成、ダイナミクスを小刻みに変えることで場面ごとにニュアンスを付与し、短尺の場面転換にも応える高い機能性を備える。

歴史的背景

1960年代後半のハリウッドでは、映画やテレビで“覚えやすいテーマ”が求められた。Neal Heftiはビッグバンド時代からの名アレンジャーとして頭角を現し、ポップとジャズを架橋する書法で評価を確立。本作でも、その簡潔でフックの強いメロディと明快なフォーム感が、スクリーンに最適化された音作りとして活きている。結果として、単独での鑑賞にも耐えるキャッチーさと、映像文脈の中で機能するドラマ性を兼ね備えた。

使用された映画・舞台(該当時)

主題曲は映画『おかしな二人』(監督:Gene Saks、出演:Jack Lemmon/Walter Matthau)で広く知られるようになった。原作はNeil Simonの戯曲であり、映画化に際してHeftiのテーマが確立。舞台公演でのテーマ直接使用の詳細は情報不明だが、後年のテレビシリーズ版でも同主題がアレンジ違いで用いられ、作品世界を象徴する音として定着した。映画とテレビの双方で聴き手の記憶に刻まれた点が、本テーマの普遍性を物語る。

現代における評価と影響

The Odd Coupleのテーマは、“相性が悪いが憎めないコンビ”を想起させる音のアイコンとして、現在も映像文脈やコンサートで引用・演奏される機会が多い。ジャズ・アンサンブルによるカバーや、映画音楽プログラムでの再演も盛んで、短いモチーフを活用した編曲の妙は教育的観点からも注目される。配信や再発売により音源アクセスが容易となった今、軽快さと温もりを併せ持つこのテーマは、新旧のリスナーに等しく受け入れられている。

まとめ

Neal HeftiによるThe Odd Coupleは、記憶に残る主題旋律と機能的オーケストレーションで、キャラクターの関係性と物語の軽やかさを端的に描き切る。映画音楽としての実用性と、単独曲としての魅力を兼備し、時代を越えて愛されるコメディ・テーマの定番となった。インストゥルメンタルでありながら豊かな語り口を持つ本作は、フィルムスコアが担いうる表現の広がりを示す名品である。