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Pass That Peace Pipe

  • 作曲: BLANE RALPH,EDENS ROGER,MARTIN HUGH
#洋楽ポップス
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Pass That Peace Pipe - 楽譜サンプル

Pass That Peace Pipe|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Pass That Peace Pipe」は、Hugh Martin、Ralph Blane、Roger Edens によって映画のために書かれたポップ・ソング。初出はMGM製作のミュージカル映画『Good News』(1947)で、キャンパスを舞台にした陽気でスピーディなナンバーとして登場する。Martin & Blaneは『Have Yourself a Merry Little Christmas』などで知られる名コンビで、本曲でも小気味よい韻や機知に富んだ語感を活かした作詞・作曲が際立つ。アップテンポのスウィング感とノヴェルティ的な軽快さが同居し、映画の活気を牽引する役割を担った。単体シングルやチャート成績などの詳細は情報不明だが、代表的音源は映画サウンドトラックとされる。

歌詞のテーマと意味

タイトルの“Peace Pipe(平和のパイプ)”は和解の象徴として用いられ、口論やすれ違いを収めて仲直りしよう、という軽妙なメッセージが核にある。韻を多用した言葉遊びとコーラスの畳みかけにより、争いの熱を冷ます“合図”をコミカルかつ前向きに提示するのが特徴だ。一方で、表現には当時の大衆文化に見られるステレオタイプ的なイメージが含まれ、今日の視点では文化的配慮が必要と指摘されうる。物語的には、場面のテンションを和らげ登場人物たちの関係を前進させる“調停”の機能を果たし、踊りと合唱が一体化した演出でキャラクターの勢いを可視化している。

歴史的背景

本曲は戦後アメリカにおけるMGMミュージカル黄金期の産物で、フリード班を中心とした高度な音楽・ダンス制作体制の中で生まれた。『Good News』は1920年代キャンパス文化をノスタルジックに描いた作品で、当時の観客に明朗さと活力を与えることを狙った。音楽面では、ブラス主体のスウィング・フィールとタイトなリズム、呼応するコーラスが一体となり、映像のカット割りや群舞とシンクロする映画的ミュージカル言語を確立。第20回アカデミー賞(1948)では本曲が歌曲賞にノミネートされ、映画音楽の中でも印象的な“ショー・ストッパー”として位置づけられた。

有名な演奏・映画での使用

最も広く知られるのは『Good News』(1947)劇中での演奏・ダンス場面で、軽快な合唱とアンサンブルが見どころ。サウンドトラック音源が代表的なリスニング手段となっている。商業的なカバーやヒット・チャートの詳細は情報不明。映画外での顕著な再使用例も情報不明だが、作品自体の人気とともに、本曲は映画ミュージカルの名場面を象徴する楽曲として言及されてきた。

現代における評価と影響

今日では、アップテンポな推進力と巧みな韻律処理、群衆シーンを牽引する構成力が高く評価されている。一方で、歌詞表現には文化的ステレオタイプと受け止められうる側面があり、鑑賞・上演の文脈では歴史的背景を踏まえた理解が求められる。教育的・資料的な観点からは、ハリウッド・ミュージカルが映像編集と音楽を結びつけ、群舞のダイナミズムを最大化した好例として参照価値が高い。映画音楽史の中で、場面の空気を一気に転換させる“機能的ソング”の典型として位置づけられる。

まとめ

「Pass That Peace Pipe」は、映画『Good News』を象徴する機知と躍動のポップ・ナンバー。仲直りを促す明快なメッセージと、群舞を活かす音楽設計により、時代を超えて語り継がれる存在となった。アカデミー賞候補という実績に加え、歴史的文脈や表現の受容を踏まえて楽しむことで、楽曲の魅力と意義がいっそう立体的に見えてくる。