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Patricia, It's Patricia
- 作曲: PRADO DAMASO PEREZ,PEREZ PRADO DAMASO

Patricia, It's Patricia - 楽譜サンプル
Patricia, It's Patricia|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Patricia, It's Patricia は、キューバ出身でメキシコを拠点に活躍した作曲家・バンドリーダー、ダマソ・ペレス・プラードによる1958年のインストゥルメンタル。原題「Patricia」の別表記として流通し、軽快なマンボの語法を土台にしたラテン・ビッグバンド作品である。歌詞を持たない純器楽曲で、作者自身のオーケストラ録音が決定版として知られる。
音楽的特徴と演奏スタイル
基礎には2-3クラーベに基づくリズムと、ピアノのモントゥーノが置かれる。コンガ、ボンゴ、グイロ、カウベルなどの打楽器群が推進力を生み、トランペットとサックスがキャッチーなホーン・リフを重ねる。短く覚えやすい主題をコール&レスポンスで展開し、ブレイクやシンコペーションで躍動感を強調。テンポは中高速で、ダンスフロアに最適化された明快なアレンジが特徴だ。
歴史的背景
1950年代半ばに世界的ブームとなったマンボは、ペレス・プラードが大衆化を牽引したジャンル。本作はその流れの成熟期に登場し、アメリカを含む国際市場で大きな人気を博した。ビッグバンドとラテン打楽器を融合させた彼のサウンドは、ティン・パン・アレー的なポップ感覚とも接合し、ダンス音楽の標準形を提示した。
有名な演奏・録音
最も広く知られるのは、作者本人のオーケストラによるシングル録音とその後の各種編集盤・リマスターである。以降、ラテン・ジャズの小編成、ビッグバンド、イージーリスニング系楽団、さらにはギター主導のインスト・グループまで、多彩なカバーが制作された。代表的な録音の網羅的一覧は情報不明だが、舞台や映像用のアレンジも多数存在する。
現代における評価と影響
今日では、ラテン古典の定番としてダンスイベントやDJセットで継続的に選曲され、広告や映像作品の陽気な場面にも適合する“ラウンジ・クラシック”として親しまれる。シンプルな主題と堅牢なリズム設計は編曲・引用・サンプリングの素材として扱いやすく、世代や地域を越えて流通し続けている。
まとめ
Patricia, It's Patricia は、マンボの魅力を凝縮した短編的名曲であり、歌詞を持たないがゆえに旋律とグルーヴの純度が際立つ。1950年代ラテン・ポップ潮流の達成点として歴史的価値を持ち、現在も即効性のあるダンス・ナンバーとして機能する、普遍性の高い一曲だ。