あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

アーティスト情報なし

What Are You Doing The Rest Of Your Life?

  • 作曲: BERGMAN ALAN, BERGMAN MARILYN, LEGRAND MICHEL JEAN
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ#ムードミュージック
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

What Are You Doing The Rest Of Your Life? - 楽譜サンプル

What Are You Doing The Rest Of Your Life?|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「What Are You Doing The Rest Of Your Life?」は、作曲をミシェル・ルグラン、作詞をアラン&マリリン・バーグマンが担当した楽曲。映画『The Happy Ending』(1969年公開)のために書かれ、アカデミー賞歌曲賞にノミネートされたことで広く知られるようになった。映画由来のバラードでありながら、ジャズ界で愛奏されるスタンダードへと発展し、ヴォーカル曲としてもインストゥルメンタル曲としても定着している。愛と時間を主題に据え、誓いと問いかけを織り交ぜた詩世界が印象的だが、歌詞全文はここでは割愛する。

音楽的特徴と演奏スタイル

ルグランらしい流麗な旋律線と豊かなモジュレーションが核にあり、半音階的な進行やセカンダリー・ドミナントを多用した和声設計が、叙情と品位を両立させる。メロディは長いブレスを要するフレーズで構成され、ヴォーカリストにはレガートとダイナミクス制御、インスト奏者には声部感を意識した歌心のあるアドリブが求められる。演奏テンポは多くの場合バラード〜ミディアム・スロー。リハーモナイズにも耐える器の大きさがあり、テンションを拡張したコード付与や、間を活かすルバート的アプローチがしばしば選ばれる。

歴史的背景

1960年代後半、映画音楽とポピュラー/ジャズの垣根を横断する作曲家・作詞家コンビとして、ルグランとバーグマン夫妻は数々の名曲を生み出した。本曲もその潮流に位置づけられ、映画の成熟したテーマ性と呼応する大人のバラードとして誕生。公開直後から音楽界で注目を集め、シネマティックな情感とジャズ語法を兼ね備えた素材として、クラブやスタジオで取り上げられていった。

有名な演奏・録音

映画での披露を起点に、多数の録音が残る。代表例として、サラ・ヴォーンによる解釈は声の艶とレンジを最大限に活かし、ルグランのハーモニーを贅沢に響かせた名唱として知られる。フランク・シナトラも取り上げ、語り口の妙で歌詞の親密さを前面化した。作曲者ルグラン自身のオーケストラ/トリオ編成による演奏も評価が高く、楽曲の構造美と叙情を客観的に提示している。これらの録音はいずれも、映画歌からジャズ・スタンダードへの橋渡しを決定づけた重要な足跡である。

現代における評価と影響

今日では、リサイタルやジャズ・クラブの定番レパートリーとして継続的に演奏され、音大・音楽学校の教材としても扱われることが多い。豊かな和声語彙と旋律美は、編曲家にとっての標準文法であると同時に、歌手や即興奏者が表現力を磨く格好の題材となっている。映画音楽の名旋律がジャズの言語へ取り込まれ、世代を超えて再解釈され続ける好例として、批評的にも実演現場でも高い評価を保っている。

まとめ

「What Are You Doing The Rest Of Your Life?」は、映画発の名バラードがジャズ・スタンダード化した典型例である。洗練された和声、息の長い旋律、内省的で普遍性のあるテキストが相まって、演奏者に高度な表現を促し、聴き手に余韻を残す。出自の物語性を保ちながらも、自由度の高いジャズの器に見事に収まり、今なお名演が更新され続ける稀有なレパートリーと言える。