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Puttin' On the Ritz

  • 作曲: BERLIN IRVING
#スタンダードジャズ#ジプシージャズ
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Puttin' On the Ritz - 楽譜サンプル

Puttin' On the Ritz|楽曲の特徴と歴史

基本情報

アーヴィング・バーリンが作曲・作詞した『Puttin' On the Ritz』は、1929年に発表され、1930年の同名映画でハリー・リッチマンにより紹介された代表的スタンダード。洒落た装いを意味する題名どおり、都会的なセンスと軽妙なリズム感が魅力で、ボーカル・インスト双方で広く演奏され続けている。

音楽的特徴と演奏スタイル

多くの演奏で32小節AABA形式として扱われ、歯切れのよいシンコペーションと行進曲風のアクセントが特徴。テンポはミディアムからアップ寄りで、2ビートから4ビートへ推進力を増すアレンジが定番。小編成ではストップタイムやブレイクを活かし、ビッグバンドではホーンのユニゾンや対位法的リフで華やかさを演出する。歌唱では語り口の明瞭さとリズムのはめ方がポイント。

歴史的背景

1920年代末のアメリカで、高級ホテル“リッツ”に象徴される贅沢志向とナイトライフ文化が広がる中で生まれた楽曲。発表当初の歌詞には当時の社会を映す表現が含まれ、後年の版では差別的と受け取られる語句の修正・差し替えが行われた。映画や舞台の文脈で洗練とユーモアを兼ね備えたナンバーとして重宝され、時代ごとの解釈で生き延びてきた。

有名な演奏・録音

初期の決定打は1930年のハリー・リッチマン。1946年の映画『ブルー・スカイ』ではフレッド・アステアが華麗なタップとともに披露し、映像的イメージを決定づけた。1974年の映画『ヤング・フランケンシュタイン』ではコミカルな名場面として記憶され、1982年にはタコ(Taco)がシンセ・ポップ調にアレンジして世界的ヒットを獲得。時代ごとに異なる質感で親しまれている。

現代における評価と影響

今日でもセッションやレビュー公演、広告・映像作品で頻繁に取り上げられ、古典でありながら即時性のあるキラーチューンとして機能する。装いとスタイルを讃えるテーマは文化的アイコンとなり、タイトル自体が慣用表現として独り歩きするほどの浸透度を獲得。教育現場でも、リズムの明瞭化やスウィング感の学習素材として有用視される。

まとめ

『Puttin' On the Ritz』は、都会的洒脱さと軽快なリズムを核に、映画・ジャズ・ポップスを横断して受容されてきた稀有な楽曲である。時代に応じた歌詞やアレンジの更新を経ても中核の魅力は不変で、演じ手の個性を映し出す余白も多い。クラシックな華やぎを現在に持ち込む一曲として、今後も演奏・鑑賞の場で生き続けるだろう。