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Raiders March
- 作曲: WILLIAMS JOHN T

Raiders March - 楽譜サンプル
Raiders March|作品の特徴と歴史
基本情報
Raiders Marchは、作曲家ジョン・ウィリアムズ(表記: WILLIAMS JOHN T)による映画音楽で、1981年公開の映画『Raiders of the Lost Ark』(邦題『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』)のメインテーマとして作曲された。インディ・ジョーンズのキャラクター性を一瞬で喚起する象徴的な主題で、シリーズを通じて繰り返し用いられる。純粋な器楽曲であり歌詞は存在しない。公開当時からサウンドトラックの中心曲として認知され、コンサート用スイートとしても広く演奏されている。
音楽的特徴と表現
力強いブラスのファンファーレ、スネアドラムが刻む行進の律動、そして推進力のある弦の伴奏が核となる。主題は跳躍を伴う明快な旋律線で構築され、英雄性と冒険心を凝縮。A-B形式で対照的なセクションを持ち、堂々たる主題提示と伸びやかな副主題が物語のスケール感を拡張する。オーケストレーションは金管の厚みを前面に、木管の経過句やホルンの応答、打楽器のアクセントでダイナミクスを強調。テンポは快速寄りのマーチで、クライマックスに向けた和声の高揚と決然とした終止が映画のアクションと完璧に同期する。
歴史的背景
1970年代後半から80年代初頭にかけて、ウィリアムズはシンフォニックな映画音楽を復権させた中心人物であり、本作もその流れの中で誕生した。スティーヴン・スピルバーグ監督作品との継続的な協働が成熟期に達し、古典的アドベンチャー映画の系譜を現代に蘇らせる音楽語法を確立。公開直後から主題的な明晰さと記憶性の高さが評価され、映画自体の成功とともに世界的な知名度を獲得した。
使用された映画・舞台(該当時)
本テーマは『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981)で初登場し、シリーズ全作にわたりタイトルや追跡・アクション場面など要所で用いられる。続編『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)、『最後の聖戦』(1989)、『クリスタル・スカルの王国』(2008)、『運命のダイヤル』(2023)でも継続して登場し、キャラクターの登場や勝利のモーメントを強く印象づける。コンサート版はフィルム音楽プログラムの定番曲として独立演奏される機会が多い。
現代における評価と影響
Raiders Marchは今日、映画音楽のアイコン的主題の一つとして位置づけられる。旋律の覚えやすさとオーケストラ書法の巧みさは、広く一般聴衆から専門家に至るまで高い評価を受け、シンフォニックなアドベンチャー・スコアの規範を示した。教育現場や市民オーケストラのレパートリーにも浸透し、ポップス・コンサートやメディアでの引用を通じて新たな世代にも届き続けている。
まとめ
勇壮な行進感と鮮烈な主題で、インディ・ジョーンズの精神を音で体現した名曲。映画の枠を越え、単独のコンサートピースとしても存在感を放つ。シンフォニックな映画音楽の魅力を語る上で外せない代表作である。