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Reeling in the Years
- 作曲: BECKER WALTER CARL,FAGEN DONALD JAY

Reeling in the Years - 楽譜サンプル
「Reeling in the Years|歌詞の意味と歴史」
基本情報
Reeling in the Yearsは、Walter BeckerとDonald Fagenによる作曲で、Steely Danのデビュー作『Can't Buy a Thrill』(1972)に収録された代表曲。リード・ヴォーカルはDonald Fagenが担当し、切れ味鋭いリード・ギターはセッション名手エリオット・ランドールが弾いていることで知られる。ロックを基調にポップなフックと洗練されたコード進行を併せ持ち、ラジオ・フレンドリーなサウンドで人気を獲得。シングルとしても広く知られ、現在もクラシック・ロックの定番として高い認知を保っている。
歌詞のテーマと意味
タイトルの“Reeling in the Years”は、過ぎゆく年月を手繰り寄せるように回想する感覚を示唆し、歌詞はかつての恋人または近しい相手に向けた辛辣な独白として展開する。郷愁に浸るよりも、時間や才能が無駄にされたという苛立ちが前面にあり、皮肉やユーモアをまじえた比喩表現で自己防衛的な距離感を保つのが特徴。メロディは軽快だが、言葉は甘さを抑え、関係をめぐる不均衡や失望を冷静に見つめる視点が一貫している。結果として、明るいサウンドと辛口の語り口のコントラストが、曲の記憶性と深みを生んでいる。
歴史的背景
初期Steely Danはロサンゼルスの一流セッション勢とともに、ロック、ポップ、ジャズの語法を折衷した緻密なサウンドを追求。本曲も、明快なリフとシャープなビートに、拡張和音や転調感を織り込み、当時の同時代曲とは一線を画す洗練を示した。スタジオ重視の制作体制のもとで、ボーカルのハーモニー配置、ピアノとギターの掛け合い、コーラスの入り所まで綿密に設計され、耳当たりの良さとアレンジの密度を両立している。
有名な演奏・映画での使用
エリオット・ランドールによるリード・ギターは本曲最大の聴きどころで、ソロのフレーズ運びと音色の抜けの良さは今なお高く評価される。Steely Danのライヴでは初期から取り上げられ、現在もコンサートや映像アーカイブで定番的に楽しまれている。映画やテレビでの具体的な使用例は情報不明。著名アーティストによるカバーや公的に評価された別ヴァージョンも情報不明だが、クラシック・ロックのプレイリストやラジオでのヘビーローテーションは広く確認できる。
現代における評価と影響
本曲はSteely Danの名刺代わりの一曲として定着し、軽快なリフ、覚えやすいフック、毒気を含むリリックの三位一体で、世代を超えて聴かれている。ギター・プレイヤーからはソロの構成美やダイナミクスが手本として参照され、編曲面でも、リズム隊のタイトさとコーラス配置の巧妙さが研究対象となっている。ストリーミング時代に入っても再生の勢いは衰えず、バンドの深いカタログへの入口として機能し続けている。
まとめ
Reeling in the Yearsは、耳に残るロックの快感と辛口の歌詞世界を高次で融合させた一曲。作曲と演奏、録音の精度が相乗し、半世紀を経ても古びない魅力を放つ。Steely Danの入門にも、ギター・ロックの妙味を味わう一曲としても最適だ。