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Rock & Roll PartⅡ
- 作曲: GLITTER GARY,GADD PAUL FRANCIS

Rock & Roll PartⅡ - 楽譜サンプル
Rock & Roll PartⅡ|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Rock & Roll PartⅡは、1972年に発表されたGary Glitterの代表的ナンバーで、ほぼインストゥルメンタルとして知られる。作曲者は「GLITTER GARY, GADD PAUL FRANCIS」。同時期に歌入りのPart Iも存在するが、PartⅡは掛け声「Hey!」を中心に構成され、米国では“The Hey Song”の通称で浸透した。単独アルバム収録やチャート詳細は情報不明だが、シングルとして広く流通し、その即時性と会場映えする設計で人気を得た。制作面ではプロデューサー/アレンジャーとしてMike Leanderの関与が広く知られている。
音楽的特徴と演奏スタイル
音楽的には、ずっしりとした4分のストンプ・ビート、ハンドクラップ、歪んだリフ型ギターが核。間合いを活かしたブレイクに続いて「Hey!」の合唱が入る反復構造が、群衆のコール&レスポンスを自然に誘発する。メロディは短いモチーフの反復で、コード進行も最小限に抑制。編成はロック・バンド基調で、厚みは多重録音と残響処理で確保されている。ライブやスポーツ現場で演奏する際は、テンポの安定、キックと手拍子の一体感、ブレイクの“溜め”が最大の決め手となる。
歴史的背景
発表当時の英国ではグラム・ロックが台頭し、華やかなビートと集団的な高揚感が時代の空気を捉えた。歌付きのPart Iと対になる形で、ほぼインストのPartⅡが同時期に展開され、特に北米での支持が拡大。ラジオだけでなくアリーナのBGMとして定着し、観客参加型のアンセムへと発展した。制作体制や発売レーベルの詳細は情報不明だが、音響的な強度と覚えやすさが国境を越えて受容された点は特筆される。
有名な演奏・録音
最も知られる録音はGary Glitter名義のオリジナル・シングル版。以後、スポーツ会場やパレード、放送メディア向けに数多くの編集版やカバー、サウンドアライクが作られた。映画では『ジョーカー』(2019)での使用が象徴的で、主人公が階段で踊る場面の高揚を支える選曲として大きな話題を呼んだ。ほかにもテレビ番組やイベントで繰り返し引用され、短いフレーズの反復がシーン転換の合図として機能している。
現代における評価と影響
今日では“スタジアム・アンセム”の古典として評価される一方、Gary Glitter本人に関する重大な犯罪歴が明るみに出た後、使用可否をめぐる倫理的議論が継続している。多くの会場が起用を見直し、権利処理や印税の帰属に関しても議論が生じたため、カバー版や新録音への置き換えが進んだ例もある。音楽的影響は根強く、シンプルなリフと群衆コーラスの設計は、後続のスポーツ向け楽曲やテレビ用ジングルに受け継がれている。
まとめ
Rock & Roll PartⅡは、歌詞に依存せず高揚感を創出する設計で、グラム・ロック期の発想を今日の大規模イベントにまで接続した稀有な曲である。評価と論争の両面を踏まえつつ、その音響的発明性と文化的影響は現在も無視できない。