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Ruby, Don't Take Your Love to Town
- 作曲: TILLIS MEL

Ruby, Don't Take Your Love to Town - 楽譜サンプル
Ruby, Don't Take Your Love to Town|歌詞の意味と歴史
基本情報
メル・ティリスが書いた「Ruby, Don't Take Your Love to Town」は、1967年にジョニー・ダレルの録音で注目され、1969年にケニー・ロジャース率いるザ・ファースト・エディションの大ヒットで広く知られました。カントリーを基調とした物語性の強いバラードで、後年まで多くの歌手に歌い継がれています。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、戦地で重傷を負い身体の自由を失った帰還兵の一人称で語られます。夜ごとに街へ出かける妻ルビーに対し、主人公は孤独と嫉妬、無力感に揺れながら「愛を持って町へ行かないで」と懇願します。「アジアの戦争」への言及や、抑えきれない怒りが生む緊張感が、物語に陰影を与えます。明確な断罪や救済を示さず、感情の行き場のなさを描く点が特徴です。
歴史的背景
1960年代後半のアメリカはベトナム戦争と社会不安のただ中にあり、戦争が家庭や地域社会に残した傷跡は深刻でした。本作は、英雄譚でも反戦スローガンでもなく、個人の感情の微細を描くことで時代の痛みを映し出しました。そのリアルさは一部で議論を呼びつつも、多くの共感を集め、カントリーが社会的現実を語る力を改めて示しました。
有名な演奏・映画での使用
代表的な録音には、ジョニー・ダレル(1967)やケニー・ロジャース&ザ・ファースト・エディション(1969)が挙げられ、後者は国際的ヒットとなりました。ウェイロン・ジェニングスらも取り上げ、また女性側の視点から応答する楽曲「Billy, I've Got to Go to Town」(ジェラルディン・スティーヴンス)も生まれました。映画での顕著な使用は情報不明。
現代における評価と影響
本作はカントリーの語り歌の典型として評価され、帰還兵の心情を描くポピュラー音楽の重要作に数えられます。ケニー・ロジャースにとってはソロ以前の代表曲となり、その後の物語性豊かなヒットへの橋渡しとなりました。今日もカバーやプレイリストで聴かれ、時代を超えてテーマの普遍性と歌詞叙事の力を示しています。
まとめ
戦争の後遺症と夫婦の軋轢を凝縮した「Ruby, Don't Take Your Love to Town」は、簡潔な旋律と鮮烈な語りで聴き手の想像力を喚起します。私生活の暴露ではなく社会の断面図として機能する点で、今なお示唆に富む一曲です。詳細不明な点は残るものの、物語性の力強さは色褪せません。