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San Antonio Rose

  • 作曲: WILLS JAMES ROBERT,WILLS BOB
#洋楽ポップス#ベンチャーズ
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San Antonio Rose - 楽譜サンプル

San Antonio Rose|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「San Antonio Rose」は、ボブ・ウィルス(本名James Robert Wills)が率いるテキサス・プレイボーイズによって1938年に発表された西部スウィングの器楽曲。豊かなフィドルを中心に、スティール・ギターやリズム・セクションが支えるダンス・チューンで、バンドの代表曲となった。後年、歌詞を付けた改訂版「New San Antonio Rose」も生まれたが、本稿は器楽版を対象とする。

音楽的特徴と演奏スタイル

中速の4/4を基調に、フィドルが朗々と主旋律を歌い、ブラスやスティールがリフで応答するコール&レスポンスが映える。ジャズ由来のスウィング感とカントリー由来の素朴さが同居し、二拍系の軽快さから四拍の跳ねへと滑らかに揺れるのが魅力。即興ソロを挟みつつも、印象的なメロディを何度も回帰させる構成で、ダンス・フロアを強く意識したアレンジが採られている。

歴史的背景

1930年代後半、テキサス〜オクラホマのダンスホール文化とラジオの普及が、西部スウィング隆盛の土壌をつくった。ウィルスはストリング・バンドの伝統にジャズ・バンドの編成感を取り込み、都会的なスウィングと土着のフィドル音楽を架橋。「San Antonio Rose」はその理想形として親しまれ、やがてバンドのシグネチャー・チューンとなる。

有名な演奏・録音

初出の1938年録音が原点だが、1940年には歌詞付きの「New San Antonio Rose」が大きな成功を収め、楽曲名は全米的に浸透した。ビング・クロスビーのカバーで知名度がさらに拡大。その後も、ウィリー・ネルソンとレイ・プライスの共作アルバム『San Antonio Rose』(1980)や、アスリープ・アット・ザ・ホイール、マール・ハガードのボブ・ウィルス追悼作などで繰り返し録音されている。

現代における評価と影響

本曲は西部スウィングの定番として、ダンス・バンドやジャム・セッションのレパートリーに定着。カントリー、ウェスタン、ジャズの垣根を越える編成・アレンジのモデルとして引用され、テキサス音楽を象徴する旋律としても語り継がれている。教育・研究の文脈でも、ジャンル融合の成功例として頻繁に取り上げられる。

まとめ

「San Antonio Rose」は、歌心あふれるメロディとダンス可能性を両立させた器楽名曲。後年の歌詞版の成功を含め、地域音楽から全米標準へ広がる過程を示す重要作であり、いまも西部スウィングの入口として最適な一曲である。