あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

アーティスト情報なし

The September of My Years

  • 作曲: VAN HEUSEN JIMMY,CAHN SAMMY
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

The September of My Years - 楽譜サンプル

The September of My Years|歌詞の意味と歴史

基本情報

The September of My Yearsは、作曲ジミー・ヴァン・ヒューゼン、作詞サミー・カーンによるバラード。1965年、フランク・シナトラが同名アルバムのタイトル曲として発表し広く知られるようになった。豊かなオーケストレーションを特色とし、成熟した大人のポップ・ボーカルの文脈で語られる重要曲の一つである。アルバム全体のコンセプトを象徴する位置づけで、落ち着いたテンポと円熟味のある歌唱が作品の核を担う。

歌詞のテーマと意味

タイトルの“September”は人生の季節に喩えられ、若さの「春・夏」を過ぎ、熟思と内省の時間に差しかかった心象を描く。過去への回想は美化に陥らず、喜びと悔いを等距離で見つめ直す態度が貫かれる。歌詞は自己省察と受容を軸に、経験から得た感謝や、これから歩む日々への静かな決意を慎ましい比喩で表現。大仰なドラマではなく、言葉の間合いと旋律の余白に感情を託す書法が、聴き手の個人的記憶と共鳴する。結果として“年を重ねること”を気負わず肯定する、普遍性の高いメッセージを備える。

歴史的背景

1960年代半ばはロックの台頭期だが、シナトラは円熟したコンセプト・アルバムによって大人のポップ表現を深化させた。ヴァン・ヒューゼンとカーンは長年のコラボレーターで、ここでも端正な旋律と言葉の精緻なはめ込みで主題を明確化。アルバム『September of My Years』は1966年のグラミー賞最優秀アルバムを受賞し、同曲は作品世界の要として評価を支えた。世代交代のただ中で“成熟”を前景化した点は、当時のポピュラー音楽において際立っていた。

有名な演奏・映画での使用

最も知られるのはフランク・シナトラによる1965年のスタジオ録音で、彼のコンサートでも重要なレパートリーとして歌われた。以降、ボーカル・ジャズやクロスオーバー系の歌手によるカバーが重ねられ、円熟をテーマにしたプログラムで取り上げられることが多い。一方、映画やドラマでの顕著な使用例は情報不明。録音面では、緩やかなテンポ、弦主体のオーケストレーション、語り口を重視したフレージングが解釈の要点とされる。

現代における評価と影響

今日では、人生の節目や追悼・回顧のシーンにふさわしい楽曲として定評がある。若年層にも届く普遍性を持ち、年代や文化を超えて共感が広がる点がロングライフの理由。プレイリストやステージ構成では、内省的なバラードの核として配されることが多く、歌詞の語義と声のテクスチャーの調和が鑑賞の鍵とされる。作曲と作詞の緊密な結合は、以後のコンセプト志向のボーカル作品にも示唆を与えた。

まとめ

The September of My Yearsは、人生の秋を静かな肯定で描く名曲。端正な旋律、克明な言葉運び、オーケストラルな装いが一体となり、時代を越える説得力を獲得した。初出の録音は基準点でありつつ、各歌手の人生観を映す鏡として解釈の余地も広い。成熟の美学を音楽で体現した、本質的にタイムレスなポップ・ソングである。