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She

  • 作曲: AZNAVOUR CHARLES
#洋楽ポップス
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She - 楽譜サンプル

She|歌詞の意味と歴史

基本情報

「She」は、フランスを代表する歌手・作曲家シャルル・アズナヴールが手がけた1974年のバラード。英語詞はハーバート・クレッツマーが担当し、英国ITVのドラマ「Seven Faces of Woman」の主題歌として発表された。発売当時、英国シングル・チャートで4週連続1位を記録し、アズナヴールの国際的代表曲として知られる。アズナヴール本人による英語版のほか、フランス語版「Tous les visages de l'amour」、イタリア語「Lei」、スペイン語「Ella」、ドイツ語「Sie」など多言語で録音され、世界各地で長く愛されている。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、語り手が“彼女”の多面性に魅了され、時に矛盾を抱えた存在として受け止めながらも、無条件に愛し続ける心情を丁寧に描く。彼女は希望であり試練でもあるという二重性、理想と現実を行き来する比喩が織り込まれ、人生の喜びと痛みを映す鏡のように提示される。表現は端正で、誇張を避けつつ余韻を残す言い回しが多く、旋律の高まりに合わせて感情の核心へと近づく構成が特徴。最終的には、語り手にとって“生きる理由”となる存在へ着地し、普遍的な愛の賛歌としての普遍性を獲得している。

歴史的背景

1970年代前半、英国市場に向けたオリジナル英語曲として制作された本作は、ドラマ主題歌としての露出を追い風にヒットを記録。アズナヴールは既にヨーロッパ圏で高い評価を得ていたが、「She」により英語圏でも存在感を確立した。アメリカでのチャート上の成功は限定的だった一方、英国を中心に広範な支持を集め、以降の多言語展開と国際的なスタンダード化の基盤となった。

有名な演奏・映画での使用

最も広く知られる再評価の契機は、1999年の映画『ノッティングヒルの恋人』でのエルヴィス・コステロによるカバー使用である。エンドロールを彩った温かな歌唱は若い世代にも届き、楽曲の認知が一気に拡大した。アズナヴール本人のライヴでは、繊細なフレージングと呼吸の妙が際立ち、歌詞の陰影が強調される。ほかにも多数の歌手が各言語でカバーを残しており、結婚式や記念日の選曲としても定番化している。

現代における評価と影響

「She」は、シャンソンの語りの美学と英語ポップ・バラードの普遍性を架橋した作品として評価される。メロディはシンプルながらダイナミクスが豊かで、キー変化や長いブレスを要する箇所は歌い手の表現力を試す場にもなる。映画やテレビでの再使用、ストリーミング時代のプレイリスト定番曲として定着し、世代や国境を超えて聴かれ続けている。

まとめ

主題歌として生まれ、国際的ヒットとなった「She」は、愛の多面性を端正に描いた不朽のバラードである。オリジナルと多言語カバー、そして映画での再評価が重なり、今なお新たなリスナーを獲得し続ける。シンプルな旋律に深い感情の層を宿す本作は、アズナヴールの作曲家としての力量と、言葉の選び抜かれた美しさを示す一曲だ。