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So Long, Farewell

  • 作曲: RODGERS RICHARD
#洋楽ポップス#映画音楽
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So Long, Farewell - 楽譜サンプル

So Long, Farewell|作品の特徴と歴史

基本情報

『So Long, Farewell』は、リチャード・ロジャース作曲、オスカー・ハマースタイン2世作詞のミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』(1959年初演)に書かれたナンバー。1965年の映画版でもヴォン・トラップ家の子どもたちが披露する場面で広く知られる。家庭的な温かさと社交の場にふさわしい洗練が共存し、物語内での“別れ”を晴れやかに演出する役割を担う。

音楽的特徴と表現

軽快な3拍子のワルツに乗る親しみやすい旋律が核。各子どもが順番にフレーズを受け渡す構成で、声域とキャラクターの違いを活かした見せ場が続く。調性は明快で、終盤に向けて高揚感をもたらす転調やダイナミクスの変化が用いられ、舞台上の動きと音楽が密接に呼応する。ドイツ語の挨拶語をさりげなく織り交ぜ、ウィットと気品を同時に伝える点も印象的で、観客に笑顔と余韻を残す。

歴史的背景

本作は、実在のヴォン・トラップ家の物語を基にした『サウンド・オブ・ミュージック』の中で、家庭内の音楽教育と子どもたちの成長を象徴する位置づけにある。ロジャース&ハマースタインにとっては最後の共同作品で、ハマースタインは初演翌年の1960年に逝去。『So Long, Farewell』は、彼らの成熟した語法とドラマツルギーが結晶した遺作群の一部として、作曲・作詞両面の完成度が評価されている。

使用された映画・舞台(該当時)

舞台版では社交の集いで子どもたちが客人にお休みを告げながら、一人ずつ舞台から退場する演出が定着。映画版でも邸宅の舞踏会シーンで印象的に用いられ、子どもたちの礼儀正しさと家族の結束を鮮やかに示す。さらにザルツブルク音楽祭の場面では再登場し、物語の緊張を和らげながらドラマの転換点を支える役割を果たすなど、舞台・映画双方で機能美が際立つ。

現代における評価と影響

簡潔で覚えやすいメロディ、視覚的に楽しい出入りの演出、そして多言語要素のユーモアが結びつき、学校公演やコミュニティ合唱でも定番曲として親しまれている。映画サウンドトラックや各国の上演録音を通じて広く普及し、別れの場面を明るく包み込む象徴的ナンバーとして、ミュージカル全体を代表する一曲に数えられる存在感を保ち続けている。

まとめ

『So Long, Farewell』は、ワルツの軽やかさと巧緻な舞台構成によって、家族の温もりと礼節を観客に伝える名曲。1959年の初演以来、映画と舞台の両方で物語を前に進めるエンジンとして機能し、別れの瞬間を希望に変える力で、世代を超えて受け継がれている。