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Ana Maria
- 作曲: SHORTER WAYNE

Ana Maria - 楽譜サンプル
Ana Maria|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Ana Mariaは、サックス奏者・作曲家ウェイン・ショーターによる1975年の作品。初出はアルバム『Native Dancer』に収録された音源で、ミルトン・ナシメントとの協働期に生まれたレパートリーの一つである。楽曲はインストゥルメンタルで、公式な歌詞は確認されていない。タイトルはショーターの当時の妻の名と一致するが、命名の経緯は情報不明。現在もジャズの現場で取り上げられる機会がある。
音楽的特徴と演奏スタイル
ショーター特有の機能和声に依存しない進行と、抒情的で余白の多い旋律が核となる。明確なトニック感を曖昧にしつつ、短いモチーフを変形・連結して大きなフレーズを描く。即興ではモーダルな発想と精緻なボイスリーディングが求められ、アンサンブルはダイナミクスと音色の対比で緊張を築く。四度堆積や開離配置のボイシングが浮遊感を強調する。
歴史的背景
1970年代半ばのショーターはウェザー・リポートでの活動と並行して、ブラジル音楽に接近し『Native Dancer』を制作。Ana Mariaはその文脈に位置づけられるが、同作の中でも内省的な書法が際立つ。アコースティック期のポスト・バップ語法を引き継ぎつつ、エレクトリック以降の音響感覚を導入した過渡期の成果。出版年は1975年、初演の詳細は情報不明。
有名な演奏・録音
基準となる録音はウェイン・ショーター『Native Dancer』(1975年)。以後もショーター関連のライヴで取り上げられているが、網羅的ディスコグラフィは情報不明。他演奏家によるカヴァーも複数あるとされるが、代表盤の確定情報は情報不明。
現代における評価と影響
作編曲家からは、機能和声に頼らず旋律の説得力で重心を作る手本として評価。教育現場でもショーター作品研究の題材となり、モチーフ操作やフォーム設計、ボイシングが分析対象となる。プレイヤーにとっては、高度なインタープレイと音価コントロールを学ぶ格好の素材。
まとめ
Ana Mariaは、ショーターの成熟した作曲美学を凝縮したインスト曲で、1970年代のジャズの文脈と彼の表現軌跡を結ぶ重要作である。確定情報の乏しい点もあるが、録音と実演の双方で今なお響きを更新し続けている。