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Stormy Monday

  • 作曲: WALKER AARON,T BONE WALKER
#洋楽ポップス
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Stormy Monday - 楽譜サンプル

Stormy Monday|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Stormy Monday」は、Tボーン・ウォーカー(本名Aaron Thibeaux Walker)によるスロー・ブルース。正式題は「Call It Stormy Monday (But Tuesday Is Just as Bad)」。1947年に録音され、1948年のシングル化を通じて広く知られるようになった。12小節ブルースを基調とし、歌とエレクトリック・ギターのコール&レスポンスが核。歌詞は週の各曜日を比喩に、憂うつと嘆きを淡々と綴るのが特徴で、直接的な引用なしでも情景が伝わる普遍性が評価される。

音楽的特徴と演奏スタイル

テンポはスロー〜ミディアム・スロー。三連系のフィールやシャッフルの揺れ、ブルーノートを多用する旋律、間合いを重視したフレージングが要点となる。ギターはベンドとビブラート、半音階的なターンアラウンドで情感を増し、歌との呼応でドラマを作る。後年の多くの演奏では、IVへ向かうII–V進行やディミニッシュの経過和音など、ジャズ由来のハーモニーが一般化。オルガンやホーンを加えた厚みのある編成、自由度の高いアドリブ・コーラスも定番化している。

歴史的背景

本曲は戦後西海岸のエレクトリック・ブルースを切り拓いたTボーン・ウォーカーの代表作として登場。洗練されたコード・ヴォイシングとシングルノートのギター・スタイルは、のちのシカゴ/テキサス・ブルースはもとより、ジャズ・ギタリストにも大きな影響を与えた。なお、Earl Hinesらの1942年作「Stormy Monday Blues」とは別曲で、題名が近いため混同されやすい点には注意が必要である。

有名な演奏・録音

オリジナルのウォーカー版は定番だが、Bobby “Blue” Blandの1961年版はホーン・アレンジとジャジーな和声で以後のスタイルを方向づけた。The Allman Brothers Bandは1971年『At Fillmore East』で拡張的なジャムを披露し、ロック~ジャム・バンド文脈でも決定的な名演として語られる。B.B. KingやEtta Jamesなども秀逸な解釈を残し、多様なジャンルの演奏家が各々の語法で楽曲の懐を広げてきた。

現代における評価と影響

今日、「Stormy Monday」はブルース/ジャズ双方のセッションで最も演奏されるスロー・ブルースの一つ。ギタリストにとってはダイナミクス、ビブラート、休符の扱いを学ぶ教材として、ヴォーカリストにとっては語り口と間の表現力を磨く課題曲として定着。音楽教育やワークショップでも頻繁に扱われ、スタンダードとしての生命力を維持し続けている。

まとめ

簡潔な12小節の枠組みに深い情感と物語性を宿すことで、「Stormy Monday」は時代とジャンルを超えて演奏され続けてきた。原曲の精神を尊重しながら、和声や編成を拡張できる柔軟性こそが魅力であり、今後もセッション現場と名演を通じて更新されるスタンダードであり続けるだろう。