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Anna (Go To Him)

  • 作曲: ALEXANDER ARTHUR JR
#ビートルズ#洋楽ポップス
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Anna (Go To Him) - 楽譜サンプル

Anna (Go To Him)|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Anna (Go To Him)」は、ALEXANDER ARTHUR JR(アーサー・アレクサンダー)による1962年発表のR&B/ソウル楽曲。作曲・作詞は同氏によるもので、端正なメロディと哀切なボーカルが特徴だ。原曲はアメリカ南部由来のソウル感覚をたたえつつ、ポップ・フィールドでも受け入れられる普遍性を備える。後年、英国のビートルズが取り上げたことで国際的に知られ、R&Bとブリティッシュ・ビートの橋渡しを象徴する一曲として位置づけられている。

歌詞のテーマと意味

本作は失恋の局面で、語り手が相手の幸福を第一に考え、身を引く決断を伝える内容。執着や非難ではなく、相手の意思を尊重する成熟した視点が貫かれている。別れの痛みと尊厳を同時に描くことで、R&Bの情感とポップの分かりやすさを両立。語り口は切実だが過剰に dramatize せず、感情の余白が聴き手の共感を呼び起こす。直接的な嘆きではなく自己抑制の美学をたどる構成が、時代や文化を超えて支持される理由と言える。

歴史的背景

1960年代初頭、アメリカ南部ではカントリーとゴスペル、ブルースが交差し、ソウルの語法が形成されつつあった。アレクサンダーはその流れの中心人物の一人で、シンプルな語彙と品位ある旋律で物語性を紡ぐ作風を確立。「Anna (Go To Him)」はその代表例で、後のロック勢に楽曲解釈の手本を与えた。英国ではR&B愛好家のミュージシャンが米南部のシングル盤を蒐集しており、本曲もそうした“逆輸入”の潮流のなかで評価が高まっていった。

有名な演奏・映画での使用

最も広く知られるのは、ビートルズによる1963年の公式音源(アルバム『Please Please Me』収録)。ジョン・レノンのリード・ボーカルとコーラスのコントラストが、原曲の痛切さに新鮮な推進力を与えた。彼らのBBCセッションや初期ライブでも取り上げられ、曲の国際的浸透を決定づけた。他アーティストによるカバーは多数あるが、網羅的リストは情報不明。映画やドラマでの明確な使用例についても情報不明である。

現代における評価と影響

本作は、ソングライティングの節度と語りの説得力を学ぶ教材として評価が高い。R&Bの情緒、ポップの普遍性、ロックが継承した切実な表現の交差点に立つ名曲として、研究・再演が続く。ビートルズ経由で知った世代が原曲へ回帰する動線も健在で、アレクサンダーの作家性再評価に貢献。カバーの自由度が高く、シンプルなコード進行とメロディが歌い手の個性を引き出す点も、長命さの要因となっている。

まとめ

「Anna (Go To Him)」は、別れを品位と優しさで描くR&B/ソウルの逸品。原曲の静かな強さと、ビートルズの解釈がもたらした普及効果が相まって、時代を超える存在となった。映画使用は情報不明だが、音楽史的価値は揺るがない。