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All I've Got To Do
- 作曲: LENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES

All I've Got To Do - 楽譜サンプル
All I've Got To Do|歌詞の意味と歴史
基本情報
「All I've Got To Do」は、レノン=マッカートニー名義の作品で、ビートルズが1963年に発表した楽曲。英国2作目のアルバム『With the Beatles』に収録され、プロデュースはジョージ・マーティン、録音はロンドンのEMIスタジオで行われた。米国では『Meet The Beatles!』(1964年)にも収録され、当時のR&B志向を示す落ち着いたバラードとして位置づけられる。作曲者クレジットはLENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES。シングルとしての扱いなど発売形態の詳細は情報不明。
歌詞のテーマと意味
歌詞は一人称の語り手が、相手に「連絡さえくれれば、すぐに応える」という態度を示す親密な呼びかけを核に展開する。遠さや不安を埋める即時性、互いに支え合う関係性、そして初期ビートのエネルギーと内省が交錯し、10代の恋の躊躇と大胆さを同時に描く。直接的で平易な語法ながら、弱さや依存を隠さず差し出す点が初期の英ポップでは新鮮で、声のブレイクやブレス、伴奏の切れ目が胸の高鳴りと期待を音楽的にトレースする。歌詞の全文や逐語的引用はここでは扱わない。
歴史的背景
初期ビートルズは米国モータウン/R&Bから大きな影響を受け、本曲もその語法を英国ビートに消化した好例である。ミディアム・テンポ、タイトなリズム・ギター、コーラスの応答が都会的な陰影をもたらし、ジョン・レノンのリード・ヴォーカルはのちの内省的な作風への橋渡しとなった。アルバム『With the Beatles』全体の中では、ダンサブルな曲群の合間を引き締めるバラードとして機能し、バンドの表現幅の広さを裏付けている。制作過程の細部(アレンジの起点やテイク数など)は情報不明。
有名な演奏・映画での使用
最もよく知られるのはビートルズ自身のアルバム収録テイクで、そのブレイクの緊張感とハーモニーの配置が評価されている。テレビ出演やコンサートでの定番度合いは情報不明。映画やドラマでの顕著な使用例は情報不明であり、網羅的なカバー・リストも情報不明だが、R&Bフィールを生かしたアレンジでの演奏解釈がしばしば試みられてきたとされる。
現代における評価と影響
本曲は、勢い重視の初期ビート・ナンバーの中で、感情の機微に焦点を当てた側面を補強した一曲として再評価が進む。電話という日常的モチーフを通じ、距離と親密さを同時に描く語り口は、その後のポップ・ソングの等身大の心理描写の萌芽といえる。また、英国バンドが米R&Bの語法を自作曲へと有機的に統合するプロセスを示し、1960年代中盤以降のブリティッシュ・ポップの標準形の一つを先取りした点でも意義が大きい。
まとめ
「All I've Got To Do」は、派手さを抑えた構成に、即時性と親密さ、R&Bの気品を凝縮した初期ビートルズの佳曲である。歴史的背景と歌詞の切実さが相まって、アルバムのダイナミズムを支える重要なピースとなっており、今なお聴きどころが多い。