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I'll Cry Instead
- 作曲: LENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES

I'll Cry Instead - 楽譜サンプル
I'll Cry Instead|歌詞の意味と歴史
基本情報
「I'll Cry Instead」はビートルズが1964年に発表した楽曲で、作曲クレジットはレノン=マッカートニー。主導したのはジョン・レノンとされ、リード・ボーカルも担当。英国ではアルバム『A Hard Day’s Night』のサイド2に収録され、米国ではCapitolの『Something New』に収録された。ロンドンのEMIスタジオでジョージ・マーティンのプロデュースのもと録音。演奏はテンポ速めの2分弱で、アコースティック主体の軽快なサウンドが特徴。
歌詞のテーマと意味
歌詞は失恋の痛みと嫉妬心、そして傷ついた自尊心を隠すような虚勢が核となる。主人公は傷つきつつも、いつか成功や自立によって相手を見返すという攻撃的な決意をのぞかせる。一方で、内面には不安や孤独がにじむため、強がりと弱さの二面性が同居。初期ビートルズに多い恋愛テーマの中でも、レノン特有の自己告白的な視点が強く、軽快な伴奏に対し感情はややダークで、歓声渦巻く時代の陰影を映している。
歴史的背景
制作はビートルズ人気が世界的に高騰した1964年、映画『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!(A Hard Day’s Night)』期の真っ只中。オープニング用として構想されたとされるが、最終的に映画本編ではタイトル曲に差し替えられた。米国盤を中心に“ロング・バージョン”と呼ばれる編集違いが存在し、セクションの編集(A/Bのつなぎ)で尺や構成が異なる点が資料的にも重要で、英米での音源差がコレクターに注目されている。映画での具体的な使用形態の詳細は情報不明。
有名な演奏・映画での使用
代表的音源はビートルズの公式スタジオ録音。テレビ出演やツアーでの定番演奏であったかは情報不明。映画『A Hard Day’s Night』での使用は見送られ、のちの版での挿入有無やモンタージュ使用の詳細は情報不明。カバーの代表例についても確証のある主要テイクは情報不明で、原曲の存在感が最も広く知られている。
現代における評価と影響
カントリー/ロカビリーの風味を帯びた軽快な伴奏と、刺々しい心理を描くレノン流の詞世界の対比が評価される。ビートルズ初期ポップの枠内にありつつ、のちの内省的作風(『Rubber Soul』期)への萌芽を感じさせる点も批評で言及されることが多い。編集違いが残った経緯は、作品研究やディスコグラフィの観点でも重要で、録音・編集プロセスを知る手がかりとして今日も参照されている。
まとめ
「I'll Cry Instead」は、明快なポップ感と自己告白的な詞が交差する1964年の小品。映画用構想や編集違いなどの周辺事情を含め、初期ビートルズの創作と産業的文脈を読み解く格好の素材であり、短尺ながら語れる要素の多い楽曲である。