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Dizzy Miss Lizzy

  • 作曲: WILLIAMS LARRY
#ビートルズ#洋楽ポップス
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Dizzy Miss Lizzy - 楽譜サンプル

Dizzy Miss Lizzy|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Dizzy Miss Lizzy」は、ラリー・ウィリアムズが1958年にSpecialty Recordsから発表したロックンロールのシングル曲。歌詞のある英語ヴォーカル楽曲で、切れ味の鋭いギター・リフとダンスフロア直系のビートが核となる。作者クレジットはLarry Williams。最も広く知られるカバーはザ・ビートルズの1965年録音で、英国ではアルバム『Help!』、米国では『Beatles VI』に収録された。チャート成績やB面構成などの詳細は情報不明。

歌詞のテーマと意味

歌詞のテーマは、激しく踊る“リジー”に心を奪われた語り手が、その魅力と高揚をストレートに讃えるというもの。「dizzy(くらくらする)」という形容が示す通り、めまいがするほどの興奮と恋の衝動を一体化させた古典的ロックンロールの語法で描かれる。比喩や物語性よりも、反復と掛け声的フレーズで勢いを生むタイプで、ティーンエイジャーの恋とダンスの即時性を全面に打ち出す。直接的でシンプルな言い回しが多用され、聴き手の身体性に訴える設計だ。

歴史的背景

1950年代後半、ロサンゼルス拠点のSpecialtyはリトル・リチャードやサム・クックを擁し、R&Bからロックンロールへの過渡期を牽引していた。ウィリアムズもその系譜に連なるシンガー/ソングライターで、本曲は12小節ブルース由来の進行と強靭なシャッフルを踏襲しつつ、より攻撃的なギターサウンドで差異化した。1965年、ザ・ビートルズが同曲を録音(EMIスタジオ、1965年5月10日)し、英国ロック世代が50年代R&Bを再評価する潮流の一端を担った。原曲のダンス・フィールを保ちながら、当時のバンド・サウンドに合わせて音圧とアタックを強化した点が鍵である。

有名な演奏・映画での使用

有名な演奏としては、ジョン・レノンの荒々しいリード・ヴォーカルと歪んだギターが前面に出たビートルズ版が筆頭。彼らは1965年のツアー期にもしばしば取り上げ、原曲のダンス・グルーヴをアリーナ仕様の轟音へと拡張した。オリジナルのウィリアムズ版は、切り裂くようなリフと跳ねるピアノ/サックスのアンサンブルが魅力的で、R&B的熱量を濃厚に伝える。映画での明確な使用例については情報不明。

現代における評価と影響

現在では、ロックンロールのエネルギーを象徴する定番曲の一つとして位置づけられ、ギター主導のリフ・ロックの原型として音楽教育やドキュメンタリーでも言及されることが多い。ブルース・フォームの上に載る強靭なリフ、短いランタイム、反復を軸にしたサビ構造など、後続のガレージやハードロックにも通じる語法を提示。ビートルズ版の再解釈により、50年代R&Bのカタログがロック世代に架け橋を得た例としてもしばしば参照される。

まとめ

ダンス・フロア発の衝動をそのまま音に焼き付けた「Dizzy Miss Lizzy」は、1958年のロックンロールと1965年のブリティッシュ・ロックを架橋した一曲である。原曲のR&B的熱量と、ビートルズ版の増幅されたロック感の対比を聴き比べれば、編成や音像、ノリの違いが鮮明に体感できるだろう。基本に忠実でありながら普遍的な高揚を生む、その強度こそが長く愛される理由だ。