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Word, The
- 作曲: LENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES

Word, The - 楽譜サンプル
Word, The|歌詞の意味と歴史
基本情報
『The Word』は、LENNON JOHN WINSTONとMCCARTNEY PAUL JAMESの共作によるビートルズの楽曲。1965年発表のアルバム『Rubber Soul(ラバー・ソウル)』に収録され、プロデュースはGeorge Martin。ロンドンのEMIスタジオで録音され、シングル化はされていない。特徴的なハーモニウムが編成に加わり、ギター、ベース、ドラムとともに厚みのあるアンサンブルを構成する。英国ではParlophone、米国ではCapitolからリリースされた。
歌詞のテーマと意味
タイトルが示す“言葉”は、個人的な恋愛を超えて普遍的な「愛」の理念を指し示す。語り手はその理念を理解し、広めようとする主体として描かれ、反復の多い表現がスローガン的な力を持たせる。合唱的なコーラスとシンプルで断定的なフレーズ運びが、メッセージの明快さと伝播力を強調。初期の恋愛歌から、共同体や時代精神へ視界を開く転換を印象づける内容となっている。
歴史的背景
1965年のビートルズは、フォーク・ロックやR&Bの語法を吸収しつつ、スタジオを創造の場として拡張していた。『The Word』は、持続する鍵盤の響きやコード運び、コーラス処理によって、後年のサイケデリック期を予感させる要素を提示。抽象的・観念的テーマへの傾斜が強まり、アルバム全体が内省と実験性で結ばれる中で、本曲は思想的な“芯”として機能したと捉えられている。
有名な演奏・映画での使用
本曲が公式ツアーで頻繁に演奏された記録は情報不明。映画やテレビ番組での顕著な使用も情報不明である。一方で、オリジナルのモノラル/ステレオ両ミックスが存在し、後年のCD化や2009年リマスターにより音像の鮮明さが向上。ハーモニウムの厚みやコーラスの配置など、ミックス差異を聴き比べる楽しみが広がっている。
現代における評価と影響
『The Word』は、アルバム『ラバー・ソウル』の統一感を支えるキートラックとして評価が高い。R&B的グルーヴとファンキーなギター・カッティング、タイトなハーモニーが、メッセージ・ソングへの橋渡しを担い、後年の作品群に連なる思想的基盤を示した。普遍的な愛の理念は、ロックが社会的発言を強めていく流れの中で重要な位置を占め、今日でも参照され続けている。
まとめ
『The Word』は、ビートルズがポップ・ソングの枠を広げ、メッセージとサウンドの両面で新局面を切り開いた証左である。凝縮された演奏と明快な理念が共鳴し、『ラバー・ソウル』という転換点の中核を成した。アルバムを通して聴くことで、制作の狙いと時代の空気がより立体的に浮かび上がるだろう。