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Tomorrow Never Knows
- 作曲: LENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES

Tomorrow Never Knows - 楽譜サンプル
Tomorrow Never Knows|歌詞の意味と歴史
基本情報
1966年発表、ザ・ビートルズのアルバム『Revolver』を締めくくる楽曲。作曲クレジットはLENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMESで、主唱はジョン・レノン。録音はロンドンのEMIスタジオ、プロデュースはジョージ・マーティン。Cのドローン上に単一和音を据え、ロックとインド音楽の融合を示す。
歌詞のテーマと意味
歌詞は内面の静観やエゴからの解放を促す瞑想的視点を中心に据える。着想源には、ティモシー・リアリーらによる『The Psychedelic Experience』(『チベットの死者の書』に基づく手引)への関心が挙げられる。タイトルはリンゴ・スターの言い間違いから生まれたとされ、運命論ではなく“いまここ”への没入を示唆する。具体的物語よりも観念の反復と音響体験が核となる。
歴史的背景
ツアー終盤、スタジオ制作へ比重を移した時期に誕生。メンバーが持ち寄ったテープループを複数デッキで再生し、ミキサーのフェーダーで“演奏”。レノンの声はレスリー・スピーカーで回転効果を付与し、ADTも活用。タンブーラのドローン、強靭なドラム、逆回転ギターなど実験的処理が大胆に試された。
有名な演奏・映画での使用
スタジオ版が決定打とされる一方、カバーも多い。フィル・コリンズは『Face Value』(1981)で大胆に再構築し、フィル・マンザネラとブライアン・イーノのユニット801もライヴで取り上げた。映像作品では、米ドラマ『マッドメン』シーズン5でオリジナル音源が使用され、大きな話題を呼んだ。ダンス/エレクトロの分野では、ケミカル・ブラザーズらに顕著な影響を残している。
現代における評価と影響
単一和音の反復、ドローン美学、具体音のコラージュは後のサイケデリック、アンビエント、ビッグビート、ポストパンク/ニューウェイヴに広く波及。録音技術の創造的活用がポップ・ソングの枠組みを拡張した作例として、各種音楽誌の“革新的楽曲”ランキングでしばしば上位に挙げられる。スタジオを楽器化する発想は、現代のDAW時代にも直結している。
まとめ
Tomorrow Never Knowsは、歌詞による直接的な物語よりも、音と意識の変容を体験させる設計にこそ核心がある。1966年当時の最先端技術と思想を凝縮し、以後のロック/電子音楽の可能性を切り拓いた。半世紀を経ても、その斬新さは色褪せず、新規リスナーにとっても音の冒険への格好の入口だ。