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Within You Without You
- 作曲: HARRISON GEORGE

Within You Without You - 楽譜サンプル
Within You Without You|歌詞の意味と歴史
基本情報
「Within You Without You」はビートルズのアルバム『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967)収録曲。作曲・作詞はGeorge Harrison。インド古典の奏者を招き、シタール、タンブーラ、タブラ、ディルルバなどを用いた編成に、ジョージ・マーティンのストリングスが重なり、東西折衷の独自サウンドを形づくる。録音はスタジオ制作期のセッションで行われた。
歌詞のテーマと意味
タイトルが示す「あなたの内にも外にも」という逆説は、個我を越えたつながりを示唆する。歌詞は瞑想的な内省、エゴの手放し、愛と慈しみへの志向を核に据え、物質主義的価値観や分断への批評をにじませる。難解に見えるが、反復するドローンと静謐な進行がメッセージを支え、聴き手を抽象的な普遍性へ導く。具体的体験を超えた精神的気づきを促すのが本曲の要点である。
歴史的背景
1966年、ハリスンはシタールの研鑽を深め、ラヴィ・シャンカルに師事。ビートルズがツアー活動を終え、スタジオ制作に集中した文脈で本曲は生まれた。1967年のサマー・オブ・ラブを背景に、ロンドンのEMIスタジオで録音。西洋弦楽の記譜をインド的装飾に合わせる発想は、プロデューサーのジョージ・マーティンの手腕が支えた。ポップ・アルバムの中核で東洋的精神性を提示した点で画期的だった。
有名な演奏・映画での使用
ビートルズとしての公式ライブ演奏は存在しない。代表的な再構築として、Cirque du Soleilのショー『LOVE』および同名アルバムでの「Within You Without You/Tomorrow Never Knows」が知られる。映画での明確な使用情報は情報不明。多くのカバーが存在するが、網羅的なリストおよび特定の代表例の確定は情報不明である。
現代における評価と影響
東西音楽の架橋として評価され、ロックにおけるラーガ的アプローチの普及に寄与した。ドローン、モーダルな旋法、打楽器の循環構造は、その後のサイケデリック再評価やアンビエント/ニューエイジの音響感覚にも波及。ハリスンの精神性を代表する楽曲として、アルバム全体の物語性を支える鍵曲と見なされることが多い。今日でも多文化的コラボレーションの先駆例として語られる。
まとめ
インド古典の語法とロックの録音美学を高度に結び、内省的な歌詞世界を具現化した稀有な一曲。時代性を超えるテーマと音色設計により、初聴にも再発見にも耐える深みを保ち続けている。