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Glass Onion
- 作曲: LENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES

Glass Onion - 楽譜サンプル
Glass Onion|歌詞の意味と歴史
基本情報
1968年、ザ・ビートルズの通称『ホワイト・アルバム』に収録されたナンバー。作者クレジットはレノン=マッカートニーだが、主導したのはジョン・レノンとされる。ロンドンのEMIスタジオ(現アビー・ロード・スタジオ)で録音され、プロデュースはジョージ・マーティン。ラウドなバンド・サウンドに加え、後半にストリングスを配したアレンジが印象的だ。
歌詞のテーマと意味
タイトルの“ガラスの玉ねぎ”は、透けて見えるのに層が重なるという逆説的メタファー。自身の既発曲名を次々と引き合いに出し、ファンやメディアの“深読み”文化を茶化す自己言及的な歌だ。とりわけ、過去曲の登場人物に関する示唆的な一節は、解釈合戦をさらにあおった。地名や身の回りの固有名詞も織り交ぜ、虚実の境界を意図的にぼかしている。歌詞全文はここでは扱わないが、比喩と引用の交錯が核である。
歴史的背景
制作期の1968年は、インド滞在後の創作爆発とバンド内の緊張が同居した年。セッションは個別作業化が進みつつも、スタジオ実験は大胆さを増した。本曲は、そうした空気の中で生まれた“自己引用”と“聴き手へのウィンク”の結晶であり、後年には1969年頃に広がる“ポール死亡説”といった都市伝説でしばしば引き合いに出されることになる。メタ視点のポップが台頭する時代感を先取りしていた。
有名な演奏・映画での使用
ビートルズが本曲をコンサートで披露した記録はない。一方、2018年の『ホワイト・アルバム』50周年盤でデモ音源(いわゆるエシャー・デモ)が公式公開され、制作初期像が明らかになった。映画では、2022年の『Glass Onion: A Knives Out Mystery』の題名の由来として言及されるが、楽曲使用の詳細は情報不明。代表的なカバーの網羅的リストも情報不明。
現代における評価と影響
Glass Onionは、ポップが自分自身の神話を素材化する先駆的実例として評価される。レノンの冷笑的ユーモアと、マーティンの的確なサウンド設計が交錯し、短尺ながら強い記憶性を獲得。以後のロック/ポップにおける自己言及的ソングライティングや、既存曲へのメタな参照の手法に影響を与えたと論じられることが多い。批評家・研究者の再評価も進み、アルバム内の重要曲として認知される。
まとめ
過去作への参照を多重に重ね、聴き手の“読み”そのものをテーマ化した本曲は、ビートルズのカタログ内でも独自の位置を占める。謎と遊び心のバランス、ロックと室内楽風アレンジのブレンドが今なお新鮮さを保つ。受け手の想像力を刺激しつつ、過剰な深読みを笑い飛ばす姿勢こそ、この曲の魅力の核心と言えるだろう。