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Why Don't We Do It In The Road

  • 作曲: LENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES
#ビートルズ#洋楽ポップス
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Why Don't We Do It In The Road - 楽譜サンプル

Why Don't We Do It In The Road|歌詞の意味と歴史

基本情報

Why Don't We Do It In The Roadは、1968年発表のビートルズ『The Beatles(通称ホワイト・アルバム)』に収録された短いロック・ナンバー。作曲クレジットはLENNON–MCCARTNEYだが、制作はポール・マッカートニー主導で進められた英語詞曲である。レーベルはApple。録音はロンドンのアビイ・ロード・スタジオのセッションで行われたとされ、アルバム内でもっとも粗削りで直截的なトラックの一つとして知られる。シングルカットはされていない。

歌詞のテーマと意味

歌詞は極めて反復的で、社会的タブーを挑発する一言の呼びかけを軸に、本能と抑制のせめぎ合いを描く。露骨な性的示唆があるものの、物語性よりも感情の爆発とリズムの高揚が中心で、短いフレーズとシャウト気味のボーカルが衝動のエネルギーを可視化する。羞恥や規範に縛られる人間社会への問いかけ、即興的で原始的な生命力の肯定が核にあり、ミニマルな言葉遣いがメッセージを強く印象づける。

歴史的背景

着想は、1968年にメンバーが滞在したインドでマッカートニーが目にした「動物が往来で交尾していた光景」とされ、そこから人間の抑圧を皮肉る凝縮した楽曲が生まれた。録音は主にマッカートニーが単独で進め、ドラムにリンゴ・スターが参加したと記録される。ジョン・レノンがセッションに招かれなかったことへの不満を後年語った逸話も広く知られ、当時のバンド内の制作手法や力学を象徴する一件として語られてきた。

有名な演奏・映画での使用

ビートルズによる公式なライブ演奏は残されていない。映画やドラマでの顕著な使用例は情報不明。カバーは散発的に存在するものの、決定的なヒット・バージョンは少なく、むしろオリジナル録音の荒削りな質感や、マッカートニーの激しいボーカル・パフォーマンスが唯一無二の魅力として記憶されている。

現代における評価と影響

ホワイト・アルバムの折衷性を象徴する“スケッチ”的楽曲として、評価は二分されてきた。だがそのプリミティブなブルース感、装飾を排したビート、最小限の歌詞が生む即効性は、後のガレージ/パンク的美学やローファイ志向に通じると再評価が進む。アルバム全体の緊張と緩和を担う配列上の役割も指摘され、過激さゆえに議論を呼びつつ、作品世界のレンジを広げた重要曲とみなされている。

まとめ

Why Don't We Do It In The Roadは、過激なタイトルとシンプルな構成で本能と社会規範を照射する小品である。制作過程やメンバー間の力学を垣間見せつつ、1968年という時代の空気を封じ込めた。短いながらも強烈な存在感を放ち、ホワイト・アルバムの多様性を際立たせる要所として、現在も語り継がれている。