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Golden Slumbers
- 作曲: LENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES

Golden Slumbers - 楽譜サンプル
Golden Slumbers|歌詞の意味と歴史
基本情報
Golden Slumbersは、ビートルズのアルバム『Abbey Road』(1969年)に収録された短いバラード。作者表記はLennon–McCartneyだが、制作主導はポール・マッカートニー。オーケストラ編曲はプロデューサーのジョージ・マーティンが担当し、ストリングスとブラスを加えた壮麗なサウンドで知られる。曲はアルバムB面のメドレー終盤に位置し、「Carry That Weight」へ連続して展開する重要なピースで、レーベルはApple。録音はロンドンのEMIスタジオで行われた。
歌詞のテーマと意味
子守歌の穏やかさと、別離や帰郷への希求が交錯するのが本曲の核。安息へ誘う言葉運びと、再会を願う感情が短い構成に凝縮され、ピアノの静かな導入から力強い歌唱へと至るダイナミクスが、慰めと高揚を同時に生む。17世紀の劇作家トマス・デッカーによる詩「Cradle Song」に触発された背景が知られ、古い子守歌のモチーフを現代ポップの文脈に置き換えた点が特徴的。歌詞の全文はここでは扱わないが、眠りと帰還のイメージが一貫している。
歴史的背景
1969年夏、バンド内に緊張が高まる一方で、録音現場では高度なアレンジと最新機材が駆使された。マッカートニーが家で見つけた古い詩の楽譜に触発され、新たなメロディを書いた逸話が広く知られる。ピアノ主体の下地に、後から大編成のストリングスとブラスがオーバーダビングされ、曲の短さを補う劇的な厚みが付与された。『Abbey Road』B面のいわゆる“長いメドレー”の感情的クライマックスの一角を担い、続く「Carry That Weight」「The End」への橋渡し役を果たす。
有名な演奏・映画での使用
基準点はもちろんビートルズのオリジナル録音。ポール・マッカートニーはソロ公演で「Golden Slumbers〜Carry That Weight〜The End」をしばしばメドレーとして披露し、アンコールを飾る定番となっている。ジョージ&ジャイルズ・マーティンによるリミックス・プロジェクト『Love』(2006)にも取り上げられ、楽曲の新たな表情が示された。映画での具体的な使用例については情報不明だが、カバーは多数存在し、合唱やオーケストラ編成でも演奏される。
現代における評価と影響
『Abbey Road』はロック史の金字塔と位置づけられ、本曲もその叙情性と編曲美で高評価を得ている。短い構成ながら、静寂から一気にフォルテへ開くダイナミクス、弦と金管の昂揚、そしてマッカートニーの張りのあるボーカルが、アルバム終盤の物語性を強化。子守歌の古典モチーフをロックの表現言語に翻訳した好例として、音楽学的な言及もしばしば見られる。ライブやシアター作品を通じて新世代にも届き続けている。
まとめ
Golden Slumbersは、古い子守歌の情感を現代ポップの器で結晶化した小品にして、メドレーの要。端正なメロディと壮麗なオーケストレーションが、休息と希望という普遍的テーマを強く印象づける。ビートルズの創造性とスタジオワークの成熟を体現する一曲である。