アーティスト情報なし
I've Got A Feeling
- 作曲: LENNON JOHN WINSTON, MCCARTNEY PAUL JAMES

I've Got A Feeling - 楽譜サンプル
I've Got A Feeling|歌詞の意味と歴史
基本情報
『I've Got A Feeling』は、ビートルズが1970年に発表したアルバム『Let It Be』収録曲。作曲はレノン=マッカートニー名義で、主導はポール・マッカートニー、ジョン・レノンの断章「Everybody Had a Hard Year」とのメドレー構成が特徴。1969年のGet Backセッションで制作され、公式アルバム版はフィル・スペクターがミックスを担当したとされる。代表的なパフォーマンスには、1969年1月30日のロンドン・サヴィル・ロウにあるアップル本社屋上での公演が広く知られている。
歌詞のテーマと意味
ポールのパートは恋愛と新たな活力の高まりをストレートに歌い、ファンキーなギター・リフとタイトなリズムが肯定的な推進力を強調する。一方、ジョンの断章は出来事を列挙する反復的な構造で、重ねられた現実の重みや疲弊を提示。終盤で両者が同時進行的に絡み合うことで、希望と苦難が併存する晩期ビートルズの複層的心情を描き出す。全体として、私的な感情とバンドの状況が交差するダイナミクスが核にある。
歴史的背景
本曲は「Get Back/Let It Be」企画の一環として1969年1月にロンドンでリハーサルと録音が進行。スタジオ回帰とライヴ感の回復を目指す試みの中で、メンバー間の緊張と創造性がせめぎ合った。屋上公演はその象徴的結実で、寒空の下での即興性と相互作用がカメラとテープに生々しく刻まれた。後年の公式リリースでは、この時期の素材が編纂され、作品全体の文脈を決定づける位置に置かれている。
有名な演奏・映画での使用
1969年の屋上公演テイクは、映画『Let It Be』(1970)に収録され、2021年のドキュメンタリー『The Beatles: Get Back』でも再編集素材として大きく取り上げられた。さらに2022年には屋上公演の公式音源配信『Get Back – The Rooftop Performance』が解禁。ポール・マッカートニーは2022年のツアーで映像技術を用い、ジョンとの“仮想デュエット”として本曲を披露するなど、ライヴの定番曲として再注目されている。
現代における評価と影響
ハードロック志向のリフとソウル由来のグルーヴを併せ持つ点、そしてレノン=マッカートニー両者の視点が補完的に機能する構成が高く評価される。映像資料の充実により制作過程が可視化され、若年層の発見も進んだ。プレイリストやライヴの文脈で存在感を保ち、バンド後期の創造性とライヴ・フィールを語る際の重要曲として引用され続けている。
まとめ
『I've Got A Feeling』は、力強いリフと二人の断章的視点を重ねた構成により、ビートルズ終盤のエネルギーと現実感を象徴する一曲である。屋上公演という決定的記録を軸に、音源・映像の両面で価値が更新され続ける、時代を超えるロック・ナンバーと言える。