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Tears in Heaven
- 作曲: CLAPTON ERIC PATRICK

Tears in Heaven - 楽譜サンプル
Tears in Heaven|歌詞の意味と歴史
基本情報
Tears in Heavenは、エリック・クラプトン(作曲)とウィル・ジェニングス(作詞)によるバラード。初出は映画『ラッシュ』(1991年公開)のサウンドトラックで、シングルは1992年に発表。のちにMTV Unplugged(1992)で披露されたアコースティック版が世界的な評価を確立した。穏やかなテンポと簡潔な旋律、丁寧なギター・アルペジオが中心で、歌声とメロディの近さが際立つ。米国ではビルボードHot 100で2位を記録し、広く国際的にヒットしたことでも知られる。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、深い喪失と向き合う語り手が、天国での再会を想像しながら、現世での痛みと受容の間を揺れる心情をつづる。印象的なフレーズとして、もし天国で再び会えたなら自分を認めてくれるだろうか、といった自問が繰り返される。ここでの“天国”は、実在の場所というより、悲嘆を超えていく象徴的な比喩として機能し、別れを受け止めるための精神的な歩みを示す。希望を断言しない慎ましい語り口が、聴き手それぞれの喪失体験に寄り添う普遍性を生んでいる。
歴史的背景
本作は、1991年にエリック・クラプトンの幼い息子を失った悲劇を背景に生まれた楽曲として知られる。クラプトンはウィル・ジェニングスと協働し、私的な痛みを普遍的な言葉へと昇華。映画『ラッシュ』の挿入歌として発表されたのち、1992年のMTV Unpluggedでの再解釈が決定打となった。1993年のグラミー賞で最優秀レコード、最優秀楽曲、最優秀男性ポップ・ボーカルを受賞し、同年の音楽界を代表する作品となった。
有名な演奏・映画での使用
初出は映画『ラッシュ』のサウンドトラック。特にMTV Unpluggedでのアコースティック演奏は、原曲の繊細さとメロディの核心を際立たせ、以後の標準解釈として広く参照される。コンサートでも長年取り上げられ、追悼やチャリティの場で演奏されることが多い点も特徴。世界各地で多くのアーティストにカバーされ、編成もソロ・ギターから合唱、室内楽的アレンジまで幅広く展開している。
現代における評価と影響
Tears in Heavenは、パーソナルな物語を普遍的感情へ昇華した模範例として、ポップ・バラード史に位置付けられる。音数を絞ったアコースティック・サウンドと節度あるメロディ運びは、多くのシンガーソングライターに影響を与え、喪失と癒やしを扱う楽曲の指標となった。メディアや式典での使用頻度も高く、世代や地域を超えて歌い継がれている。ストリーミング時代においても再生され続け、共感と慰めの歌として評価は揺るがない。
まとめ
個的悲嘆から生まれたこの楽曲は、簡潔な言葉と柔らかな旋律で、喪失を抱える普遍の心情に触れる。映画『ラッシュ』での初出、アンプラグド版の成功、グラミー受賞という歩みは、その普遍性の証左だ。Tears in Heavenは、派手さを排した表現によって、記憶と愛、そして受容への道筋を静かに示し続けている。