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Ten Cents a Dance(Simple Simon)

  • 作曲: RODGERS RICHARD
#洋楽ポップス#映画音楽
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Ten Cents a Dance(Simple Simon) - 楽譜サンプル

Ten Cents a Dance(Simple Simon)|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Ten Cents a Dance」は、Richard Rodgers作曲・Lorenz Hart作詞の1930年作。ブロードウェイ・ミュージカル「Simple Simon」のために書かれた歌唱曲で、発表直後から広く親しまれた。以後、ポピュラーとジャズ双方の文脈で受け継がれ、アメリカ歌曲の定番として確立している。

音楽的特徴と演奏スタイル

物語性の強い旋律は、ため息のように下降するラインと切ない和声進行が印象的。歌詞の情景を支える滑らかなコード運びがロジャースらしい。演奏面ではバラード〜ミディアムのテンポが多く、ルバートの前奏から2ビートへ移る手法や、余白を活かした語り口のヴォーカルが定番化している。

歴史的背景

誕生は世界恐慌直後の1930年。歌詞は“ダンスホールで一曲10セントで相手をする女性”の視点で、過酷な労働と孤独を淡々と描く。ブロードウェイの華やかさと、都市の陰影を併せ持つテーマが当時の世相を映し、後世の歌い手が時代ごとの現実に重ねて解釈する余地を与えた。

有名な演奏・録音

初演期の看板歌手としてRuth Ettingが知られ、1930年の録音はヒットを記録。以降も多くのシンガーが取り上げ、Ella Fitzgeraldは『Ella Fitzgerald Sings the Rodgers and Hart Song Book』(1956)で気品あるヴァージョンを残した。なお、同名映画(1931年)もあるが使用詳細は情報不明。

現代における評価と影響

働く女性のリアルを描く物語性は今日も普遍性を保ち、ジャズ・クラブやキャバレーの定番レパートリーとして演奏が続く。教育面では、詞と旋律の連携、ダイナミクスの設計、語りの間合いを学ぶ格好の素材とされ、ショー・チューンがジャズ化する過程を示す好例として参照される。

まとめ

舞台由来の洗練と社会的視座をあわせ持つ本曲は、世代やスタイルを超えて再解釈され続ける稀有なスタンダードだ。名演の蓄積が豊かで、今後も歌い継がれる価値を備えている。