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That's Entertainment
- 作曲: SCHWARTZ ARTHUR

That's Entertainment - 楽譜サンプル
That's Entertainment|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「That's Entertainment」は作曲アーサー・シュワルツ、作詞ハワード・ディーツによる1953年の楽曲。MGM映画『バンド・ワゴン(The Band Wagon)』で発表され、フレッド・アステア、ナネット・ファブレー、ジャック・ブキャナン、オスカー・レヴァントらによるアンサンブルで披露された。華やかなショー・ビジネスへの賛歌として知られ、後年はジャズやポピュラーのレパートリーに広く定着。タイトル自体が“エンターテインメント”の象徴として語られるほどの知名度を持つ。
音楽的特徴と演奏スタイル
ショー・チューンらしい明快なメロディと軽快なスウィング感が核。群唱に適したフレーズ運びと、場面を切り替えるようなダイナミクスの起伏が舞台的効果を生む。ジャズではミディアムからややアップテンポでのスウィング解釈が定番で、ビッグバンド編成でもコンボでも映える。ヴォーカルでは言葉の畳みかけを活かしたアーティキュレーションが重視され、器楽では軽妙なリズム・ヒットやコール&レスポンスでショーマンシップを演出する。
歴史的背景
1950年代前半はハリウッド・ミュージカル黄金期。『バンド・ワゴン』はその代表作の一つで、本曲は映画内で“舞台と映画の楽しさ”を祝福するコンセプトを体現したナンバーとして位置づけられた。シュワルツ&ディーツの名コンビはブロードウェイでも活躍しており、映画におけるショー・ナンバーの洗練と、観客を鼓舞する明朗な作風が本曲に結晶している。公開直後から広く知られ、以後のショー・レビューの定番曲となった。
有名な演奏・録音
オリジナル映画版のアンサンブルは最も有名な演奏のひとつ。さらにジュディ・ガーランドがコンサートやテレビ番組で取り上げ、彼女のレパートリーとして定着したことでも知られる。ライザ・ミネリもステージで頻繁に披露し、世代を超えた継承を示した。またMGMの名作ミュージカルを振り返るドキュメンタリー『ザッツ・エンタテインメント!』(1974)シリーズの主題歌・象徴曲として再注目され、幅広い聴衆に浸透した。その他の代表的録音の網羅は情報不明。
現代における評価と影響
本曲は“ショービジネス讃歌”の代名詞として今日も高い評価を得る。祝祭的で覚えやすい旋律は、ジャズ・クラブからオーケストラのポップス公演、アワード番組のメドレーまで柔軟に適応。エンタメの魅力を端的に伝えるタイトル性ゆえ、トリビュート公演や映画史回顧の文脈でも頻繁に引用される。教育現場でもアンサンブル練習の教材として親しまれ、ショー・チューンとジャズの架け橋的存在として位置づけられている。
まとめ
「That's Entertainment」は、映画発のショー・チューンがジャズ・スタンダードとして定着した好例であり、エンターテインメントそのものを祝う普遍的メッセージを備える。1953年の誕生から時代を超えて歌い継がれ、ステージでもスクリーンでも映える汎用性を獲得。作曲アーサー・シュワルツ、作詞ハワード・ディーツの職人技が、今日まで続く“観客を楽しませる”という核心を鮮やかに体現している。