Come Sunday
- 作曲: ELLINGTON DUKE

Come Sunday - 楽譜サンプル
Come Sunday|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Come Sundayは、デューク・エリントンが作曲した楽曲で、1943年に初演された大規模組曲『ブラック・ブラウン・アンド・ベージュ』の重要楽章として知られる。スピリチュアルを源流とする旋律美とジャズの和声語法を融合し、器楽版と歌詞付きのヴォーカル版の双方が演奏される。後年、同曲は単独でも広く親しまれ、ジャズ・スタンダードとして確固たる地位を築いた。
音楽的特徴と演奏スタイル
テンポは緩やかなバラード。教会音楽を思わせる祈りのフレーズがコール&レスポンスやサスティン豊かなハーモニーで展開し、エリントン特有の温かな管弦の重ね方が生む厚みが魅力だ。アルトサックス(ジョニー・ホッジスの名演で著名)を中心に、歌心を重視したレガートと微細なダイナミクスが要。ヴォーカル版では内省的なメロディラインを丁寧に語り、ピアノやオルガンが穏やかな和声を支える。リハーモナイズや自由なイントロ、ルバートの導入など、プレイヤーの解釈余地も大きい。
歴史的背景
『ブラック・ブラウン・アンド・ベージュ』は、アフリカ系アメリカ人の歴史と精神性を描いたエリントンの代表的長編で、1943年カーネギー・ホールで初演。Come Sundayはそのなかで、日曜日の礼拝や信仰、救いへの希求を象徴する中核楽章として機能した。のちにエリントンは聖的要素を含む活動を広げ、同曲はジャズとスピリチュアルを架橋する代表例として位置づけられていく。
有名な演奏・録音
エリントン楽団による初演以降、アルトサックスのジョニー・ホッジスをフィーチャーしたオーケストラ版は名高い。1958年にはマヘリア・ジャクソンを迎えたアルバム(『Black, Brown and Beige』)でヴォーカル版を録音し、楽曲の知名度を決定づけた。後年も教会公演やセイクリッド・コンサートで頻繁に取り上げられ、チャーリー・ヘイデン&ハンク・ジョーンズによるアルバム『Come Sunday』など、世代を超えた解釈が続く。
現代における評価と影響
Come Sundayは、ジャズとゴスペルの語法を自然に接続した稀有なレパートリーとして演奏家に愛される。器楽・歌唱のどちらでも成立する柔軟性は教育現場や教会コンサートでも重宝され、アンサンブル編成の拡大や合唱編曲にも適応。信仰や希望を主題とする普遍的なメッセージ性が国や世代を超えて共感を呼び、現在もスタンダードとして演奏頻度が高い。
まとめ
スピリチュアルの敬虔さとジャズの表現力を結びつけたCome Sundayは、エリントンの美学を凝縮した楽曲。歴史的文脈と音楽的洗練が重なり、今なお深い感動と再解釈の余地を与え続けている。