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There's No You

  • 作曲: HOPPER HAROLD S HAL
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ
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There's No You - 楽譜サンプル

There's No You|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「There's No You」は、HOPPER HAROLD S HAL(Hal S. Hopper)作曲、Tom Adair作詞による英語バラード。発表年は1944年。もともとは戦時期アメリカのポピュラー・ソングとして広まり、その抒情的な旋律と哀感ある歌詞から、のちにジャズの現場で頻繁に取り上げられるスタンダードとなった。形式や原調は演者により多様だが、歌心を重視するバラードとして扱われることが多い。映画や舞台の初出情報は情報不明。出版元や初演歌手の確定情報も情報不明である。

音楽的特徴と演奏スタイル

大きな特徴は、息の長い旋律線と余白を活かすフレージングにある。歌唱ではブレス位置と語尾の処理が表現の鍵となり、器楽ではラバート(自由速度)のイントロから穏やかなテンポに入る構成がよく用いられる。和声は40年代ポピュラーの語法に沿い、なめらかな進行の中でテンションを丁寧に選ぶことで、寂寥と温かさが共存する。ピアノは分散和音と内声の動きで歌を支え、ギターはソフトなボイシング、ドラムはブラシ中心。サックスやトランペットはビブラートやダイナミクスで語るように歌い上げる解釈が好まれる。

歴史的背景

第二次世界大戦期のアメリカでは、ラジオやダンス・バンドを媒介に叙情的バラードが広く受容された。「There's No You」もその流れの中で誕生し、戦後にはクラブやレコーディングで定着。ジャズ・シンガーとスモール・コンボの双方に愛奏され、ポピュラー起源の楽曲がジャズの言語で再解釈される典型例となった。初演やチャート成績などの一次的記録は情報不明だが、曲の普及にラジオ放送と歌手の録音が寄与したことは時代状況から妥当といえる。

有名な演奏・録音

本作はヴォーカルとテナー・サックスの名演が多いことで知られる。甘美なストリングス付き編成や、ピアノ・トリオを基盤にした親密な録音も定番。代表的な商業録音の確定リストは情報不明だが、戦後のバラード集やスタンダード集でたびたび収録され、歌詞のニュアンスを活かしたヴォーカル版と、間合いを重視した器楽版の両軸で評価されている。具体的な映画での使用情報は情報不明。

現代における評価と影響

現在もジャズ教育現場やセッションで、表情豊かなバラード・スタディとして扱われる。歌詞の比喩と旋律の懐の深さが解釈の幅を生み、テンポ、キー、イントロの作り方次第で新鮮な表情が得られる点が評価の理由だ。配信時代においても、夜想的プレイリストやヴォーカル名唱特集にしばしば採用され、世代を超えて聴かれ続けている。編成の自由度が高く、デュオからラージ・アンサンブルまで対応可能なのも強みである。

まとめ

「There's No You」は、1940年代のポピュラー起源を持ちながら、ジャズの語法で成熟したバラード。歌詞と旋律の親和性、演奏解釈の広さが長寿命の理由だ。出自の詳細に情報不明部分は残るものの、今なお歌い継がれるスタンダードとして確固たる地位を保っている。