Cold Duck Time
- 作曲: HARRIS EDDIE

Cold Duck Time - 楽譜サンプル
Cold Duck Time|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Cold Duck Timeは、サックス奏者エディ・ハリス作曲のインストゥルメンタル。代表的初出は1969年モントルー・ジャズ・フェスでのレス・マッキャン&エディ・ハリス共演(アルバム『Swiss Movement』, Atlantic)。ソウル・ジャズ路線の名演として広く知られる。タイトルの語源は諸説あるが、作曲者による明確な言及は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
冒頭から印象的なリフが反復し、ブルース語法とゴスペル的コール&レスポンスが核。8ビート寄りの強いバックビートに乗り、テナー・サックスとピアノ/オルガン/エレピがグルーヴを牽引。ソロはペンタトニックとモーダル発想を軸に、シンコペーションとレイドバックの対比で推進力を生む。リズム隊は一定のヴァンプを保ち、ダイナミクスで起伏を作る。テーマはユニゾンやオクターブでの厚み付けが有効で、シンプルな構成ゆえにタイム感と音色の説得力が問われる。
歴史的背景
1960年代後半、ジャズはR&Bやファンクを取り込むソウル・ジャズが台頭。モントルーでの共演はその潮流を象徴し、ハード・バップの語法を保ちつつ大きなグルーヴで聴衆と一体化した。アルバム『Swiss Movement』(1969)は跨ジャンル的成功を収め、本曲の知名度を決定づけた。ジャズがクラブやフェスの大規模な聴衆へと開かれていく転換点を示す一曲でもある。
有名な演奏・録音
最も広く知られるのは前述のモントルー録音。エディ・ハリスの鋭いテナーとレス・マッキャンの躍動的ピアノが観客の手拍子と呼応し、ソウルフルな熱量を可視化する。その後もハリスのライヴや無数のコンボで演奏され、大学アンサンブルやクラブ・セッションで定番化。商業映画やドラマでの突出した使用例については情報不明。
現代における評価と影響
シンプルな和声と強固なリフ構造により、即興の自由度と聴きやすさを両立。アドリブ学習ではモチーフ展開、反復のコントロール、音量変化の設計が鍵となる。実演では短時間で会場の体感的盛り上がりを生む“セットのキラーチューン”として重宝され、現在もジャム・セッションで頻繁に選曲。教育現場でもアンサンブルの一体感とタイム感を鍛える教材として重用されている。
まとめ
Cold Duck Timeは、濃密なグルーヴと覚えやすいリフ、開かれた即興というソウル・ジャズの精髄を体現する定番曲。初学者から上級者まで幅広く楽しめ、1969年の名演を入口に多彩な解釈へと聴きを広げたい。