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Top Hat, White Tie and Tails

  • 作曲: BERLIN IRVING
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ
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Top Hat, White Tie and Tails - 楽譜サンプル

Top Hat, White Tie and Tails|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『Top Hat, White Tie and Tails』は、アーヴィング・バーリン作による1935年の映画『トップ・ハット』のために書かれ、フレッド・アステアが披露して広く知られた一曲。題名が示す通り、燕尾服にシルクハット、白タイという華やかな正装の世界を讃えるナンバーで、英語詞付きのボーカル・ソングとして発表された。現在はアメリカン・ソングブックの定番として扱われることが多い。

音楽的特徴と演奏スタイル

軽快なスイング感と都会的な品格が最大の魅力。ボーカルでは歯切れよいディクションと、ステップを思わせるリズムの押し引きが映える。ジャズでは中速〜やや速めのテンポで、ビッグバンドや小編成コンボいずれでも取り上げられ、ホーンのリフやコール&レスポンスで華やぎを添えるアレンジが親しまれている。歌詞は豪奢な装いと夜会の高揚を描き、ショウ・チューンとしての輝きを保ち続ける。

歴史的背景

大恐慌後の観客に“豪華で洗練された夢”を届けたハリウッド・ミュージカル全盛期に誕生。アステアとジンジャー・ロジャースの黄金コンビを支える楽曲群の一つとして、上流社会の舞踏会や夜会のきらびやかさを音楽的に体現した。映画『トップ・ハット』の中での精緻なダンス・シーンと結び付き、曲自体のイメージを決定づけた。以後、舞台やレビューにおけるフォーマル・エレガンスの象徴曲として用いられる。

有名な演奏・録音

初演となるアステアの映画版に加え、のちのコンサートや録音でも繰り返し歌われた。ジャズ界ではエラ・フィッツジェラルドが『Irving Berlin Song Book』で洗練された解釈を示し、スタンダードとしての地位を固めた。さらに舞台版『Top Hat』(2011)のキャスト録音など、世代を超えて再演が続いている。ボーカルはもちろん、ビッグバンドやスウィング系インストでも定番レパートリーとして扱われる。

現代における評価と影響

フォーマル・ファッションとジャズの優雅さを結び付けた象徴曲として、社交ダンス、ビッグバンドのレパートリー、映画・舞台のレビュー公演で重用される。結婚式やガラのエンターテインメントにも適し、観客に“クラシックで上品な祝祭感”を与える選曲として支持が厚い。音楽教育でも、スイング時代の歌唱とスタイルを学ぶ教材として参照され、アメリカン・ソングブックの文脈で位置づけられている。

まとめ

映画発の華麗なボーカル曲として生まれ、ジャズ・スタンダードへ定着した本作。洗練されたリズムと気品あるムードは、時代を越えてステージを輝かせ続ける。アーヴィング・バーリンの職人芸が凝縮された代表曲の一つであり、ショウ・チューンとジャズの交差点を示す好例である。