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アーティスト情報なし

The Touch of Your Lips

  • 作曲: NOBLE RAY
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ
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The Touch of Your Lips - 楽譜サンプル

The Touch of Your Lips|楽曲の特徴と歴史

基本情報

レイ・ノーブル(NOBLE RAY)作曲のスタンダード「The Touch of Your Lips」は、恋の親密さを静かに描くバラードとして広く演奏される。原初の発表年や初演歌手は情報不明。歌詞の全文はここでは扱わないが、タイトルの通り“触れ合う唇”が象徴する温かさと安堵を主題とする作品として知られる。器楽・歌唱の両面でレパートリー化され、キーやテンポは演者により可変ながら、多くはゆったりしたテンポで演奏される。

音楽的特徴と演奏スタイル

メロディは穏やかな音域で始まり、徐々に跳躍と半音階的な動きを交えながら感情の高まりをつくる。和声はトニックとサブドミナント間の滑らかな進行に、セカンダリー・ドミナントや代理コードが絡むことで、柔らかな陰影を生むのが特徴。歌では自由なルバート導入やレイドバックしたフレージングが映え、器楽ではバラード・テンポのまま空間を活かす解釈から、後半に軽いダブルタイム感を差し込むアレンジまで幅広い。デュオ(声×ピアノ)から小編成コンボまで相性がよい。

歴史的背景

作曲者レイ・ノーブルは英国出身の作編曲家・バンドリーダーで、「The Very Thought of You」「Cherokee」など数々の名曲で知られる。ダンス・バンド黄金期からスイング前夜にかけて活躍し、のちに米国でも活動した。The Touch of Your Lipsの初出資料は情報不明だが、同時期の洗練されたラヴ・ソングの系譜に連なる一曲として、戦後のジャズ・シーンで定着していった。

有名な演奏・録音

代表的な録音としては、Chet Bakerのアルバム「The Touch of Your Lips」(同名曲を中心に据えた作品)が名高い。加えて、Tony Bennett & Bill Evans による親密なデュオ版(アルバム「The Tony Bennett/Bill Evans Album」収録)は、歌詞のニュアンスと和声の美しさを端正に伝える名演として評価が高い。ほかにも多数のピアニスト、サックス奏者、歌手が取り上げ、解釈の幅広さを示している。

現代における評価と影響

現在もスタンダード曲集や音大のレパートリーで扱われることが多く、バラード解釈や声とピアノのアンサンブル研究に適した教材として重宝される。歌詞の情感を活かす英語発音、ミクロなダイナミクス、ブレス配置など、表現面の学習素材が豊富で、器楽奏者にとってもボイス・リーディングと音色設計を磨く格好の題材となっている。

まとめ

静謐でロマンティックな空気感、丁寧な和声進行、器楽・歌唱いずれにも馴染む設計によって、「The Touch of Your Lips」は世代を超えて演奏され続ける。確定情報の乏しい点(初出年・作詞者は情報不明)を踏まえつつも、録音史が示す通り、ジャズ・バラードの核をなす一曲と言えるだろう。