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Wedding March(Bridal Chorus)(Lohengrin)

  • 作曲: WAGNER RICHARD WILHELM
#トラディショナル#クラシック
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Wedding March(Bridal Chorus)(Lohengrin) - 楽譜サンプル

Wedding March(Bridal Chorus)(Lohengrin)|作品の特徴と歴史

基本情報

リヒャルト・ワーグナー作曲。歌劇《ローエングリン》第三幕冒頭の場面に置かれた合唱曲「婚礼の合唱(Bridal Chorus/独語原題 Treulich geführt)」で、花嫁一行の入場を描く。初演は1850年8月28日、ヴァイマル宮廷劇場(指揮フランツ・リスト)。原作神話は中世の白鳥の騎士伝説。原曲は女声合唱とオーケストラのために書かれ、今日ではオルガン独奏やピアノ、ブラス、ストリングスなど多様な編曲版が普及している。

音楽的特徴と表現

穏やかな行進曲風の拍動、分散和音による上行フレーズ、終止でのコラール的和声が祝祭の厳粛さを醸す。旋律は音域が無理なく、合唱がユニゾンから三和声・四和声音型へと開く構造のため、合唱団の力量に応じたバランス調整がしやすい。中間部では和声が厚みを増し、ダイナミクスの高まりが祝福の高揚を強調。舞台での実用音楽として作られており、テンポや反復は行列の進行に合わせ柔軟に運用される。オルガン版では持続低音と明確な内声進行が要所を支え、入場曲としての安定感を与える。

歴史的背景

ワーグナーは1845〜1848年頃に《ローエングリン》を作曲し、政治的亡命中の1850年、フランツ・リストの支援でヴァイマルにて初演が実現した。物語の核心は「禁問」をめぐる悲劇で、当該合唱も祝宴の陰に運命の翳りを抱える。19世紀後半から欧米で結婚式の入場曲として定着し、「結婚行進曲」の通称で一般に流布したが、同名で知られるメンデルスゾーン作(《真夏の夜の夢》付随音楽)とは出自も機能も異なる別曲である。

使用された映画・舞台(該当時)

舞台では《ローエングリン》第三幕の花嫁行列で演奏される。映像作品やテレビでは、結婚式の入場シーンの典型的な象徴として繰り返し引用されてきた。具体的な作品名の網羅は情報不明だが、短いモチーフ引用やオルガン編の使用など、文脈に応じた多様な扱いが見られる。

現代における評価と影響

《婚礼の合唱》は儀礼音楽の定番として広く親しまれており、合唱・管弦・オルガンの教育現場でも音色設計やフレージング、弱強の対比を学ぶ教材として重用される。原曲がオペラの一場面である点を踏まえ、式典の性格や会場の方針に応じて採用可否を判断する例もあるとされるが、詳細な基準は情報不明。数多くの録音・編曲が存在し、演奏スタイルは厳粛な典礼風から華やかなコンサート用アレンジまで幅広い。

まとめ

ワーグナー《婚礼の合唱》は、歌劇の文脈で生まれた祝祭音楽が社会の通俗的儀礼へ浸透した典型例である。簡明で記憶性の高い主旋律、コラール的和声、実用性の高い構成が普遍的魅力を支えた。原曲の位置づけや歴史的背景を理解することで、結婚式で耳にするおなじみの旋律にも、物語性と舞台芸術の厚みという新たな意味が加わるだろう。