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A Wonderful Guy(South Pacific)
- 作曲: RODGERS RICHARD

A Wonderful Guy(South Pacific) - 楽譜サンプル
A Wonderful Guy(South Pacific)|歌詞の意味と歴史
基本情報
『南太平洋(South Pacific)』の劇中歌で、英題は “I’m in Love with a Wonderful Guy” としても知られる。作曲はリチャード・ロジャース、作詞はオスカー・ハマースタインII。看護婦ネルリー・フォーブッシュが恋心を隠さずに告白する重要ナンバーで、明るく親しみやすいメロディが特徴。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、恋に落ちた高揚感と自己解放を中心に、弾む語り口で感情が止めどなく溢れ出す様子を描く。反復や韻を巧みに用い、日常の細部まで幸福で染め上げる視点が魅力。戦時下の不安が漂う物語の中で、個人の希望と喜びを前面化する役割を担う。物語への推進力とキャラクターの心理描写を同時に満たす作劇的な機能も持つ。
歴史的背景
初演はブロードウェイ(1949年)。ミッチェナー原作の短編群を基に、戦時の南太平洋を舞台に人種偏見と恋を描く作品世界の中で、本曲は物語の中盤を活気づける位置に置かれる。オリジナル・キャストでネルリー役を務めたのはメアリー・マーティン。作品自体は当時の社会課題にも踏み込み、後年に至るまで高い評価を受け続けている。
有名な演奏・映画での使用
代表的録音に、オリジナル・ブロードウェイ・キャスト盤でのメアリー・マーティン版がある。映画『南太平洋』(1958年)でも使用され、ミッツィ・ゲイナーが歌唱。舞台のリバイバル公演やコンサートでも定番曲として継続的に取り上げられ、キャスト録音やソロ・アルバムなど多様な形で記録が残されている。
現代における評価と影響
今日では、ブロードウェイの名曲として歌唱レパートリーや『アメリカン・ソングブック』系の選曲に頻出。明朗で可憐な旋律と、ハマースタインの平易で心温まる言葉づかいは世代を超えて親しまれ、ミュージカル教育や合唱アレンジの素材としても広く浸透している。軽快なテンポ感はコンサートでも映え、観客の共感を得やすい。
まとめ
『A Wonderful Guy』は、ロジャース&ハマースタインの職人的な作劇とソングライティングが結晶した一曲。物語の人間味を引き出しつつ、単独で聴いても幸福感を直球で伝える普遍性を持つ。舞台・映画・録音の各メディアを通じ、今なお愛され続ける定番であり、『南太平洋』を象徴する明るさと希望のイメージを担っている。