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Wunderbar

  • 作曲: PORTER COLE
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ
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Wunderbar - 楽譜サンプル

Wunderbar|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Wunderbar」は、コール・ポーター作曲・作詞によるミュージカル『Kiss Me, Kate』(1948年初演)のナンバー。劇中では別れた元夫婦フレッドとリリーが、かつてドイツで過ごした甘い思い出を語り合うデュエットとして歌われる。ウィンナ・ワルツ風の3拍子が特徴で、洒脱な言葉遊びと舞台的ユーモアが光る代表曲の一つ。

歌詞のテーマと意味

歌詞はドイツ語の感嘆詞“wunderbar(すばらしい)”を反復し、過ぎ去った恋と舞台の輝きへのノスタルジーを軽妙に描く。互いに皮肉を交えつつも、デュエットの掛け合いを通じて温かい情感がにじみ出る構造で、関係修復の予兆を観客に示す役割を担う。外国語風の語感や韻律を巧みに使い、笑いとロマンを共存させるのが特徴。具体的な固有名詞や地名の扱いは上演版により異なる場合があり、定訳は情報不明。

歴史的背景

『Kiss Me, Kate』はシェイクスピア『じゃじゃ馬ならし』を下敷きに、劇中劇のカンパニーを描く作品で、1948年ブロードウェイ初演。戦後ブロードウェイの復興期にあって、ポーターの円熟した作曲・作詞技法を示す楽曲群の中で、「Wunderbar」は幕開け近くに置かれる雰囲気づくりの要曲となった。ショー・チューンとして独立した人気も獲得し、後年の再演やコンサートでも定番化した。

有名な演奏・映画での使用

初演オリジナル・キャストではアルフレッド・ドレイクとパトリシア・モリスンが歌唱。1953年のMGM映画『キス・ミー・ケイト』でも、ハワード・キールとキャスリン・グレイソンがデュエットで披露し、スクリーンを通じて広く知られるようになった。以後のブロードウェイ再演やロンドン公演、キャスト録音でもたびたび取り上げられ、編曲は上演ごとにテンポや間合いが調整される。特定のチャート成績は情報不明。

現代における評価と影響

今日、「Wunderbar」はポーターの作風を象徴する“気品あるユーモア”と“舞曲性”の好例として評価される。3拍子の優雅さはクラシカルな声楽的アプローチにも適し、同時にジャズ寄りのスウィング感を加えた解釈にも耐える柔軟性を持つ。作品世界の導入に最適なナンバーとして、教育現場やレビュー公演のレパートリーにもしばしば選ばれる。

まとめ

ウィンナ・ワルツの語法にブロードウェイ流の洒脱さを融合させた「Wunderbar」は、物語と音楽の結び付きが強いショー・チューンの魅力を体現する一曲。歌詞の機知、デュエットの掛け合い、上演史の豊かさが重なり、今なお再演の現場で生命力を保ち続けている。