Dat Dere
- 作曲: TIMMONS BOBBY, BROWN OSCAR JR

Dat Dere - 楽譜サンプル
Dat Dere|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Dat Dere」はピアニスト、ボビー・ティモンズ作曲。のちにオスカー・ブラウンJr.が歌詞を付け、ヴォーカル曲としても広まったジャズ・スタンダード。初出はアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの「The Big Beat」(1960年)。「Moanin’」「This Here」と並ぶソウル・ジャズの代表格である。
音楽的特徴と演奏スタイル
ハード・バップの骨格にゴスペル由来のコール&レスポンスとブルース感を融合。耳に残るリフと跳ねるスウィングが推進力を生む。中庸〜やや速めのテンポで演奏され、明快な和声進行は即興の土台として扱いやすい。
歴史的背景
1950年代末〜60年代初頭、ブルーノート周辺でソウル・ジャズが台頭。教会音楽の語法を持ち込んだティモンズは「Moanin’」(1958)、「This Here」(1959/キャノンボール・アダレイでヒット)で脚光を浴びた。続く「Dat Dere」はその路線を決定づけ、現場で急速に定着した。
有名な演奏・録音
決定版の一つはブレイキーの「The Big Beat」(1960)。ティモンズ自身もトリオで再演し、ピアノ曲としての魅力を際立たせた。オスカー・ブラウンJr.は英語詞を付与して録音し、ブロッサム・ディアリーら歌手がカバー。インストと歌ものの双方で多彩な解釈が残る。
現代における評価と影響
今もジャムや教育現場で定番。リフの扱い方やブルース感の表現を学ぶ教材として有用だ。歌詞版は子どもの好奇心を描く内容で親しみやすく、ステージの雰囲気を和らげるレパートリーとして重宝される。世代や編成を超えて地位を保ち続ける。
まとめ
キャッチーなリフ、ゴスペル的語法、即興しやすい構造がそろい、「Dat Dere」はソウル・ジャズを代表する名曲として定着。1960年の初出以降、器楽曲とヴォーカル曲の両面で発展し、今日まで幅広いプレイヤーに演奏される懐の深さが魅力だ。