あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

アーティスト情報なし

An Affair To Remember (Our Love Affair)(めぐり逢い)

  • 作曲: WARREN HARRY
#洋楽ポップス#映画音楽
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

An Affair To Remember (Our Love Affair)(めぐり逢い) - 楽譜サンプル

An Affair To Remember (Our Love Affair)(めぐり逢い)|作品の特徴と歴史

基本情報

“An Affair To Remember (Our Love Affair)”は、1957年公開の映画「めぐり逢い(An Affair to Remember)」の主題歌。作曲はHarry Warren(表記ゆれとしてWarren Harryと記される場合あり)、作詞はHarold AdamsonとLeo McCarey。英題に付く副題“(Our Love Affair)”が示す通り、ふたりの恋を静かに見守るバラードで、日本では単に「めぐり逢い」の名でも親しまれる。映画では冒頭に歌入りで提示され、以降はインストゥルメンタルも交えながら物語の要所を彩る。レコードとしては当時のポピュラー歌手によるシングル化が広く知られ、主題歌としての認知を決定づけた。

音楽的特徴と表現

テンポはゆるやかなバラードで、包み込むようなレガートの旋律線が最大の魅力。甘美な上行フレーズと穏やかな終止が織りなすロマンティックな情感は、映画の高揚と余韻に呼応する。和声はメジャー系を基調に、セカンダリー・ドミナントやサブドミナント・マイナー的彩りを挟み、都会的な色合いを獲得。ヴォーカルは言葉のニュアンスを生かす丁寧なフレージングが似合い、インストではストリングスやサクソフォンが旋律の滑らかさを際立たせる。ジャズ的解釈にも耐える柔軟性を持ち、ミディアム・スローのスウィングやラテン寄りの軽い揺らぎを加えた編曲でも映える。

歴史的背景

映画「めぐり逢い」はLeo McCarey監督、Cary GrantとDeborah Kerr主演によるロマンティック・ドラマ。戦後ハリウッド黄金期の洗練を体現し、主題歌は物語の運命的な再会を音楽面から支える重要要素となった。本楽曲はアカデミー賞主題歌賞にノミネートされ、その完成度と映画との結びつきが幅広く評価された。公開当時からラジオや家庭向けLPでの露出が多く、映画音楽が一般のポピュラー市場でもスタンダード化していく潮流の象徴とも言える存在となった。

使用された映画・舞台(該当時)

本曲の初出は1957年の映画「めぐり逢い」本編。オープニング・クレジットで歌入り版が流れ、劇中ではシーンの心理を支えるインストゥルメンタルとしても再登場する。映像と主題歌の密接な連動は、登場人物の感情の推移や時間経過を示す“音のモチーフ”として機能し、観客の記憶に深く刻まれる。以後、映画音楽の文脈でしばしば取り上げられ、同作のテレビ放送やリバイバル上映でも主題歌の存在感は変わらず大きい。

現代における評価と影響

1990年代以降、映画自体がロマンスの古典として再評価され、関連作品やメディアでの言及が増えたことから主題歌も再注目を浴びた。結婚式やアニバーサリー向けの選曲、スタンダード・ヴォーカルのレパートリーとして定着し、音楽学校でも表現力を学ぶ教材として扱われることがある。カバーやインスト編曲も継続的に制作され、映画の記憶を呼び起こす“時代を超えるテーマ”としてリスナー層を広げ続けている。

まとめ

“An Affair To Remember”は、映画の物語性と歌の抒情が理想的に結実した主題歌である。上質なメロディと洗練された和声は、ヴォーカルにもインストにも開かれ、映画音楽とポピュラー/ジャズの橋渡しを果たした。公開から数十年を経ても色褪せず、恋愛映画の象徴として、そしてステージで息づくレパートリーとして、今なお愛聴され続ける一曲だ。