あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

アーティスト情報なし

And All That Jazz

  • 作曲: KANDER JOHN
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

And All That Jazz - 楽譜サンプル

And All That Jazz|歌詞の意味と歴史

基本情報

「And All That Jazz」は、1975年初演のブロードウェイ・ミュージカル『シカゴ』の幕開けを飾る代表曲。作曲はジョン・カンダー、作詞はフレッド・エブ。禁酒法時代のシカゴを舞台に、ショー・ガールのヴェルマ・ケリーが歌うナンバーとして知られ、ブラス主体のアレンジと力強いリズムが観客を一気に作品世界へ引き込む。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、華やかなナイトライフの陶酔と、犯罪やスキャンダルが娯楽化される皮肉を同時に描く。タイトルにある口語表現 “and all that jazz” は「などなど」を意味し、享楽の連鎖と虚飾を軽やかに言い抜ける合言葉として機能。きらびやかな表層と冷めたシニシズムの対比が、作品全体の批評精神を先取りして提示する。

歴史的背景

『シカゴ』は1926年の戯曲に基づき、ボブ・フォッシーの演出・振付で1975年に初演。メディアが犯罪者をスター化する風潮を諷刺する物語の核を、オープニングから提示する役割を担う楽曲が本曲である。1996年のブロードウェイ・リバイバルで再評価が進み、ミニマルな舞台美術と鋭いダンスとともに、この曲の存在感も一層際立った。

有名な演奏・映画での使用

初演ではチタ・リヴェラ、リバイバルではビー・ビー・ニューワースが象徴的な解釈を残した。2002年の映画版『シカゴ』ではキャサリン・ゼタ=ジョーンズが力強い歌唱とダンスで披露し、作品はアカデミー賞作品賞を受賞。オリジナル・キャスト録音、リバイバル盤、映画サウンドトラックなど多様な録音が広く親しまれている。

現代における評価と影響

今日では、ミュージカル・ナンバーの定番として世界各地のプロダクションやコンサートで頻繁に上演・カバーされる。ブラスのキレとスウィング感、挑発的な歌詞が、ショーの開幕やイベントのオープニングに適した高揚を生み、20世紀アメリカのショービズ像を想起させる“象徴曲”として確固たる地位を築いた。

まとめ

「And All That Jazz」は、娯楽の輝きと社会風刺を一体化した『シカゴ』の名刺代わりの一曲。カンダー&エブの緻密な作劇音楽とフォッシー美学を凝縮し、舞台でも映画でも観客を射抜く力を保ち続ける。ミュージカル史における代表的オープニング曲として、今後も長く引用・再演されるだろう。