Love Is Here To Stay
- 作曲: GERSHWIN GEORGE,GERSHWIN IRA

Love Is Here To Stay - 楽譜サンプル
Love Is Here To Stay|楽曲の特徴と歴史
基本情報
ジョージ&アイラ・ガーシュウィンによる1937年作曲、1938年発表の名曲。別題“Our Love Is Here to Stay”。AABAの32小節形式で、ヴァースを伴う歌物としてジャズ・スタンダードに定着している。恋の永続を穏やかに歌う内容で、スウィングからバラードまで幅広い解釈に耐える柔軟性を持つ。
音楽的特徴と演奏スタイル
主旋律は跳躍と順次進行のコントラストが美しく、ブリッジで和声が開ける設計。ガーシュウィンらしい拡張和声とセカンダリードミナント、循環進行が核で、モダン奏者はトライトーン置換やリハーモも映える。テンポは中庸スウィングが定番だが、ボサやルバートのバラード解釈も多い。歌唱では自由なヴァースから4ビートのコーラスへ移行する流れが効果的で、アドリブはAABA各部のモチーフ連関を意識するとまとまりやすい。
歴史的背景
本作はジョージ・ガーシュウィンの遺作として知られ、死去の翌年に映画『The Goldwyn Follies』(1938)で紹介された。以後、ブロードウェイ/ハリウッドの歌曲がジャズのレパートリーに取り込まれる潮流を象徴する1曲となり、1951年の映画『巴里のアメリカ人(An American in Paris)』でも印象的に用いられて認知を広げた。舞台・映画・ジャズの橋渡し役として、アメリカ歌曲史で重要な位置を占める。
有名な演奏・録音
歌唱ではエラ・フィッツジェラルド『Gershwin Song Book』(1959)、エラ&ルイ『Ella and Louis Again』(1957)、フランク・シナトラのキャピトル期録音が定番。ナット・キング・コールやサラ・ヴォーンも名唱を残す。器楽ではビル・エヴァンス、オスカー・ピーターソンらの解釈が広く参照される。近年はトニー・ベネット&ダイアナ・クラールのアルバム『Love Is Here to Stay』(2018)が話題となり、楽曲の新たな入口となった。
現代における評価と影響
アドリブ素材が豊富で教育現場やジャムでも頻出。親しみやすい旋律と洗練された和声の両立が、世代やジャンルを越えて演奏者を惹きつける。歌詞の世界観は時代を超える普遍性を持ち、ボーカル/インスト双方でレパートリーの柱となり続ける。配信時代においても多言語・多様式の録音が更新され、プレイリストや映像作品での露出が継続的に増えている。
まとめ
ラブソングとしての温もりと、即興演奏の器としての奥行き。その二面性こそが本曲の魅力であり、ガーシュウィン作品の到達点でもある。初学者から熟練者まで、明快なフォームと深いハーモニーを手がかりに、自分の語り口で表現を磨ける一曲だ。映画・名唱・名演の蓄積も豊富で、学習と鑑賞の両面でリファレンスに適している。