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Eighty One

  • 作曲: CARTER RONALD L SR, DAVIS MILES
#スタンダードジャズ
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Eighty One - 楽譜サンプル

Eighty One|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Eighty One」は、ベーシストのロン・カーター(CARTER RONALD L SR)とマイルス・デイヴィスの共作によるインストゥルメンタル。初出は1965年のアルバム『E.S.P.』で、いわゆる第二期クインテット(デイヴィス、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムズ)が録音した。歌詞は存在せず、ライブでも器楽曲として演奏される。タイトルの由来は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

ブルースに根差した簡潔な主題と反復進行を核に、シンコペーションの効いたリフとストップタイムが耳を引く。カーターの弾力あるウォーキングと要所のオスティナート、ウィリアムズの多層的なライド/スネアの対話、ハンコックの色彩的ヴォイシングが絡み、モーダルな発想とポスト・バップの鋭さが交差する。テーマ後のソロはフォーム感を保ちつつ自由度が高く、アクセントのずらしやダイナミクスの推移がスリルを生む。アンサンブルは各声部が対等に反応し合う「会話型」で、ミクロなタイムの揺らぎが表情を作る。

歴史的背景

1960年代半ば、デイヴィスはスタンダードの定型から離れ、集団即興の緊密さと新しいリズム感覚を探究していた。『E.S.P.』期のレパートリーの中でも本曲は、ブルースの親しみやすさを残しつつ、ハーモニーの省略や曖昧化、アクセントの再配置によって現代性を押し出した例として語られる。クレジットはカーターとデイヴィスの連名で、当時のクインテットにおける創作の共有精神を象徴している。

有名な演奏・録音

代表的な録音は初出である『E.S.P.』(1965年)収録テイクで、各メンバーのインタープレイが作品理解の基準として広く参照される。その後も多くのジャズ・ミュージシャンがレパートリーに取り上げ、コンボ編成を中心にテンポやフィールを変えた解釈が生まれている。具体的な映画・テレビでの使用情報は情報不明。網羅的なカバーリストも情報不明だが、教育現場やセッションでの定番曲として定着している。

現代における評価と影響

本曲はブルース的語法とモーダル的思考を同時に学べる素材として評価が高い。とりわけリズム・セクションの相互作用、間合いの取り方、フォームの保ち方と逸脱のバランスなど、ポスト・バップ以降の演奏美学を体感できる点が重視される。ベーシストやドラマーからの支持が厚く、ジャム・セッションでも取り上げやすい。出版や録音の総数は情報不明ながら、準標準曲としての地位は揺るがない。

まとめ

「Eighty One」は、ブルースの骨格に先鋭的なアンサンブル感覚を融合させた、第二期クインテットの美学を象徴する一曲。まずは『E.S.P.』のオリジナル録音から聴き、主題のリフ、リズム処理、各ソロの呼応に注目すると、楽曲の意図と時代性が鮮明に立ち上がる。