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Country Preacher
- 作曲: ZAWINUL JOSEF

Country Preacher - 楽譜サンプル
Country Preacher|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Country Preacherは、オーストリア出身の鍵盤奏者ジョー・ザヴィヌル(Josef Zawinul)作曲のインストゥルメンタル。初出はキャノンボール・アダレイ・クインテットのライブ盤『Country Preacher』(1969年)で、シカゴのオペレーション・ブレッドバスケット集会での録音が決定版とされる。題名の厳密な命名由来は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
音像の核はゆったりとしたファンキーなバックビートと、エレクトリック・ピアノの温かなヴォイシング。短い動機を反復するヴァンプに、アルト・サックスとコルネットがコール&レスポンス的に絡み、ゴスペルの高揚感を生む。ブルース語法やペンタトニックを軸に、ダイナミクスの段階的なビルドアップが聴きどころ。リズム・セクションはグルーヴを揺らさず、ソロは歌心を重視するのが典型的な演奏スタイルである。
歴史的背景
録音は1969年、シカゴ南部の教会で行われた公演の一部。公民権運動を支援する経済団体オペレーション・ブレッドバスケットのイベントで、ジャズ、ソウル、ゴスペルが交差する場だった。ウェザー・リポート以前のザヴィヌルが、群衆の熱気と共同体的な歌心を電化サウンドで結び付けた初期例ともいえる。
有名な演奏・録音
代表的録音はキャノンボール・アダレイ・クインテットの同名アルバム収録テイク。ザヴィヌルのエレピ、アダレイのアルト、ナットのコルネットが一体となる。他アーティストによるカバーの網羅情報は情報不明だが、小編成コンボのレパートリーとして取り上げられることがある。
現代における評価と影響
本曲はソウル・ジャズ/ゴスペル・ジャズの魅力を体現する楽曲として評価される。複雑な進行に頼らず、ヴァンプとメロディ反復で高揚を築く設計は、アンサンブルの呼吸とダイナミクスを学ぶ教材として有用。ザヴィヌルの旋律感と電化鍵盤の表現力を端的に示す。
まとめ
Country Preacherは、時代の空気と観客の熱気を取り込んだグルーヴ志向のインストゥルメンタル。公民権運動の現場で記録された背景と、ゴスペル感覚の設計が相まって、今も聴き手と演奏者を惹きつける。入門者にも経験者にも勧められる一曲だ。