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Ding-dong! The Witch Is Dead
- 作曲: ARLEN HAROLD

Ding-dong! The Witch Is Dead - 楽譜サンプル
Ding-dong! The Witch Is Dead|歌詞の意味と歴史
基本情報
1939年公開のMGM映画『オズの魔法使い』に収録されたナンバー。作曲はHarold Arlen、作詞はE. Y. Harburg。作中ではマンチキンたちが東の悪い魔女の死を祝って大合唱する場面で歌われ、快活な行進調とベルの擬音が印象的なショー・チューンである。シンプルなモチーフを合唱とオーケストラで拡大し、物語の転換点を鮮烈に印象づける。
歌詞のテーマと意味
歌詞は共同体が圧政から解放される歓喜をストレートに描く。鐘の音を模した“ding-dong”の反復、呼びかけと応答の構造により、事件の確認から祝賀、そして公式な宣言へと進む劇的運びが生まれる。直接的な攻撃性を煽るのではなく、祝祭性とコミカルさで不安を解放し、観客に安心とカタルシスを与える。物語上の状況説明と群衆心理の高まりを巧みに両立させたテキストと言える。
歴史的背景
アーレンとハーバーグのコンビは同作で「虹の彼方に」なども手がけ、映画音楽とブロードウェイの語法を融合した。テクニカラー黎明期の豪華な美術と相まって、音と映像の同期演出が観客の没入を高めた。本曲はその中核を担う群衆歌として設計され、短尺ながら強い叙述力を持つ。シンプルな和声進行と明快なリズム、鐘や木管のキラキラした音色が、祝祭の視覚演出を音楽面から支える。
有名な演奏・映画での使用
初演は映画版のマンチキン・コーラス。以後、公式サウンドトラックや後年の再録音で広く親しまれ、ショー・チューン/ジャズ文脈でも多数のカバーが制作された。映像では、魔女の死を告げるシークエンスのモンタージュに緻密に合わせられた編集音楽として評価され、舞台版やテレビ特番でもたびたび引用される。映画の象徴的場面を想起させる力が、演奏機会の多さにつながっている。
現代における評価と影響
2013年には英国での時事的文脈からダウンロードが急増し、UKシングルチャート2位に到達して話題化。フレーズが社会的メタファーとしても流通し得ることを示した。一方で作品本来は物語上のコミカルな祝祭歌であり、映画音楽史における群衆合唱の古典として評価が定着している。教育現場や音楽史の文脈では、ショー・チューンの構造、合唱アレンジの教科例として参照されることが多い。
まとめ
明快なモチーフ、合唱の推進力、映像との有機的結合により、短時間で物語を大きく動かす名曲。『オズの魔法使い』の世界観を象徴し、録音・上演ともに継続的に愛されるスタンダードとして位置づけられる。歌詞の全文は出力しないが、祝祭と解放の物語的機能は時代を超えて鮮烈だ。