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The Golden Striker

  • 作曲: LEWIS JOHN
#スタンダードジャズ
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The Golden Striker - 楽譜サンプル

The Golden Striker|楽曲の特徴と歴史

基本情報

The Golden Strikerは、作曲者LEWIS JOHN(ジョン・ルイス)によるインストゥルメンタルのジャズ楽曲。初出は1957年、Modern Jazz Quartet(以下MJQ)が演奏した映画『No Sun in Venice』のための音楽の一曲として広く知られる。歌詞は存在せず、ピアノ(ジョン・ルイス)、ヴィブラフォン(ミルト・ジャクソン)、ベース(パーシー・ヒース)、ドラム(コニー・ケイ)というMJQの編成で録音され、以後、コンサート・レパートリーや他アーティストにも取り上げられてきた。

音楽的特徴と演奏スタイル

端正な主題と明瞭なハーモニー運び、対位法的な書法が特徴。ヴィブラフォンの澄んだ音色とピアノの簡潔な伴奏が緊密に絡み、室内楽的な均衡感を保ちながらスウィングする。モチーフの反復や応答が構成の軸となり、シンプルなテーマから発展する即興は、過度な装飾に傾かず透明感を重視。ダイナミクスのコントロールと間合いが要で、アンサンブルの呼吸感を際立たせる演奏が理想とされる。キーや形式の詳細は情報不明だが、クラシカルな整合感とジャズの躍動を両立させる設計により、幅広い編成での再現が可能な曲想となっている。

歴史的背景

1950年代半ば、ジョン・ルイスはクラシックの構築美をジャズの即興性と結ぶ「室内楽的ジャズ」の方向性を推進。『No Sun in Venice』(1957)の映画音楽はその理念を示す代表例で、本曲もその文脈で誕生した。ジャズが映画や劇伴に積極的に進出した時期にあたり、ルイスの書法は映像の時間軸と音楽の形式美を統合。MJQの美学を象徴するレパートリーとして定着していく契機となった。

有名な演奏・録音

・Modern Jazz Quartet『No Sun in Venice』(1957):映画音楽としての初期録音で、作品の出発点となる重要音源。・Modern Jazz Quartetの各種ライヴ盤(収録年は情報不明):コンサートで頻繁に取り上げられ、アンサンブルの成熟を聴かせる。・Ron Carter Trio『The Golden Striker』(2003):曲名を冠したアルバムで取り上げ、現代的な解釈を提示。上記以外の詳細なカバー情報は情報不明だが、ピアノ・ヴィブラフォン・ギター等のさまざまな編成で演奏されている。

現代における評価と影響

The Golden Strikerは、ジャズ・コンボでのアンサンブル運びを学ぶ教材的な価値も持ち、室内楽的な均衡とスウィングの両立を体現する曲として評価が高い。実演の場でも適切なテンポ設定と音量設計が求められ、各パートの役割分担が明快に示されるため、レパートリーとしての持続性がある。映画音楽に端を発しながら、スタンダードとして独立した生命力を獲得した希有な例といえる。

まとめ

ジョン・ルイス作曲のThe Golden Strikerは、映画発の名曲にしてMJQ美学の核心を示すスタンダード。端正な主題、室内楽的書法、洗練されたスウィングが融合し、録音・ライヴの双方で普遍的な魅力を放つ。初演やカバーの細部に一部情報不明点はあるものの、作品の価値は揺るがず、今日も多くのジャズ・ミュージシャンに受け継がれている。