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Fascinating Rhythm

  • 作曲: GERSHWIN GEORGE
#スイング#スタンダードジャズ
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Fascinating Rhythm - 楽譜サンプル

Fascinating Rhythm|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Fascinating Rhythmは、George Gershwinが作曲し、Ira Gershwinが作詞した楽曲。1924年のブロードウェイ・ミュージカル『Lady, Be Good!』で初演され、その後ジャズ界で広く演奏されるスタンダードとなりました。舞台発のショー・チューンでありながら、ジャズ・コンボからビッグバンド、独奏ピアノ、ボーカルまで多様な形で親しまれています。歌詞付きの楽曲ですが、インストゥルメンタルでも頻繁に取り上げられるため、双方の文脈で評価が高いのが特徴です。

音楽的特徴と演奏スタイル

題名が示す通り、魅力は強烈なシンコペーションとオフビートの推進力にあります。反復するリズム動機が全体を貫き、躍動的なグルーヴを生む一方、和声は機能的進行を軸にジャズ的なリハーモナイズの余地を広く残しています。テンポは中速から速めが定石で、スウィングでの4ビート運用が主流。ピアノではストライド的アプローチからモダンなブロックコード、ドラムはクロスリズムで躍動感を強調、ベースはウォーキングで推進力を担います。ボーカルはアクセントの置き方と細かなタイム感のコントロールが要で、スキャットやコール&レスポンスも効果的です。

歴史的背景

1920年代の“ジャズ・エイジ”において、ガーシュウィン兄弟はブロードウェイとアフロ・アメリカン由来のジャズ語法を橋渡ししました。本曲はその象徴的成果の一つで、舞台音楽の洗練とダンスバンドのエネルギーが結びついた好例です。初演後はショー・チューンとしての人気に加え、ダンスホールやラジオ、レコード市場で浸透。やがて、アドリブを重視するジャズ・ミュージシャンにとって、リズム処理とフレージングを磨く格好の素材として受け入れられていきました。

有名な演奏・録音

『The George and Ira Gershwin Song Book』期のエラ・フィッツジェラルドによるボーカルは、スウィング感と明晰な発音で定番的評価を獲得。フレッド・アステアをはじめとするブロードウェイ/映画界のスターによる演唱も広く知られます。インストではアート・テイタムやオスカー・ピーターソンらピアニストが高度な和声処理と速いパッセージで名演を残し、サックスやギターのレパートリーにも定着しました。録音の年代や編成は多岐にわたり、各時代のスタイルを映す“鏡”として参照され続けています。

現代における評価と影響

今日でもジャム・セッションや音楽大学のカリキュラムに頻出し、リズム教育やアンサンブル練習の優良教材として活用されています。アレンジの自由度が高く、ボーカル・スキャット、メトリック・モジュレーションを伴うモダンな解釈まで幅広い表現を許容。ミュージカルの再演やトリビュート公演でも定番曲として扱われ、時代を超えて“ジャズ・スタンダードとは何か”を体現する一曲として位置づけられています。

まとめ

Fascinating Rhythmは、ガーシュウィンの洗練とジャズの推進力を結晶させた名曲です。強烈なシンコペーションと柔軟な和声が、世代や編成を超えて新解釈を促し続けます。舞台発のショー・チューンでありながら、ジャズの核心であるリズム処理とタイム感を学べる教材として普遍的価値を持つ、まさに“魅惑のリズム”を体感できる一曲です。